ユウサク

ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償のユウサクのレビュー・感想・評価

4.0
日本の配給がアレなせいで劇場公開されなかったアフリカ系の人々が主体となる作品の代表。『ウーマン・キング』もそうなって腹立ったけど『ティル』は公開されるようでまあ一安心。

冒頭からバチバチに映像がキマってた。ジャズっぽいハーモニーをぶつけまくる劇伴とヒリついた映像が完全にシンクロしてる。撮影もノワールフィルムライクでカッコいい。ダニエル・カルーヤの血走り眼とラキース・スタンフィールドの涙目に拍手。ドミニク・フィッシュバック、アシュトン・サンダース、ダレル・ブリット=ギブソン、ドミニク・ソーンと若手スターも勢揃い。謎めいたリル・レル・ハウリーも良かったな。
これは自分が面白い映画の条件だと思っていることだけど、何を見せて何を見せないかが的確だった。クライマックスの襲撃シーンはもちろん、ジェシー・プレモンスが「外部」になった瞬間顔が映らなくなるとか素晴らしい。『ウーマン・キング』が事実を劇的に描いたのに対しこちらは全体を悲劇として、誰が悪くて誰が悪くなかったかとかそういうのを断罪しない描き方になっていた。ラストのテロップには胸が締め付けられる……。
ただ若干デボラの扱いが悪いなとは思う。妊娠した途端に母扱いになって「母性」強めの演出過多になっていった気が。

しかしやっぱりこれも絶対劇場公開されるべきだった。ダニエル・カルーヤの演説シーンとか劇場で見たら本当にその場にいるような臨場感が味わえたと思う。
ユウサク

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