ササキ

いとみちのササキのレビュー・感想・評価

いとみち(2020年製作の映画)
5.0
今年のベスト。東京では絶対撮れない映画。世の中にはもうオリジナルは生まれない、世の中は模倣で回ってるんだ、という台詞があるが横浜監督の演出にはその場でそこにいる人達によって生まれるオリジナルな時間に対する信頼があり、模倣的な、説明的な不純物はあらかじめ削ぎ落とされている。だから言葉の力が宿っている津軽弁に対して字幕を入れるようなことも決してしていない。そして駒井蓮が「いと」という人物をまるきり生きていてそこに嘘がない。話すのが苦手ないとはメイド喫茶の人々への想いを含めた自分自身を唯一の特技である三味線を使って表現する。駒井蓮、豊川悦司、西川洋子が素晴らしい。駒井蓮とトヨエツの親子には、『お引越し』の田畑智子と中井貴一や『旅立ちの島唄〜十五の春〜』の三吉彩花と小林薫の娘と父の姿も思い出した。駒井蓮は新人賞取りまくってください。
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