いとみちの作品情報・感想・評価・動画配信

「いとみち」に投稿された感想・評価


評価が高いから見たらコレはすごいエエ映画や。
少女の青春成長物語と同時に文化の継承の大事さを語った映画でもあります。
なんと言っても、イトの津軽弁が美しい。
お婆ちゃんに育てられたイトの津軽弁は高校の先生が言ってるように「クラシック音楽」の様な意味はわからなくても心地良い調べです。
まさに語り継がれるべき言葉です。
そして、その授業では江戸時代の津軽の大飢饉の話の朗読をしています。
また、歴史博物館では博物館員から青森大空襲の話が語られます。
イトが図書館で読んでいた本は津軽の板柳で育った永山則夫の本です。
ドキュメンタリー風に津軽三味線の皮を張り替えている職人は伝承文化の担い手です。
何よりイトのお婆ちゃんからイトの母親、そしてイトに津軽三味線が伝承されていきます。
また父親は大学で津軽の文化、歴史を教えています。
こうして文化、歴史は人から人へ語り継がれ、模倣されて伝承されます。
何はともあれ、イト役の駒井蓮ちゃんの演技が最高やから。
そして度々、写される岩木山をはじめとする津軽の自然に癒されます。
何気ない日常を丁寧に描く映画が好きな人には絶対オススメです。
好き過ぎて、2回も繰り返し見てしまったよ。


青森の津軽弁って、聞き取るのが大変。
よく旅番組とかのインタビューとかで、津軽のお婆ちゃんやお爺ちゃんが出てきて、何を喋ってるのかテロップが出てきますが、これはこれで自然で良いと思います。
そこだけ見れば、意味が分からなくても充分に絵になるんだけど、本作を通して見ると、何となく会話の内容が掴めてきて、しかも津軽弁が心地よく聞こえてくるという。津軽弁は方言を通り越して、青森の文化なのだな、とさえ思えてきます。




本作のタイトル「いとみち」とは、三味線を弾く時に指に出来る「糸道」のことを言うのだそう。

津軽訛りが強く、人前で話をすることが苦手な女子高生、相馬いと。
祖母と父との3人暮らし。
祖母の影響で小さい頃から津軽三味線が大好きだったが(名前の由来も三味線の糸道から)、いつからか弾くこともなくなった。

人見知りを何とかする為にアルバイトを始めようと、いとなりに一念発起。
そして見つけたのが、青森市内にあるメイド喫茶だった…


「おげぇりなしぇえまし、ごすずんさま」

アルバイト先には、少し頼りなさそうな工藤店長を筆頭に、永遠の22歳(年齢非公表)にして、いとの教育係の幸子、漫画家を夢見る智美が働いていた。

人と接するのが苦手ないとだけに、慣れるまでには時間がかかったが、アルバイトを続けていく中で、いとも少しずつ成長していく。
そんな中、事件が起きる…



キャストは、いとの父に扮する豊川悦司さんと喫茶オーナーの小坂大魔王さん以外は、どなたも初めて知る方達でした。

主人公の相馬いとに扮するのは、駒井蓮さん。
何となくモサっとした感じと、高身長に手足の長さが特徴的ですが、三味線を弾き始めると、だんだん目の色が変わってくる。
ご本人は猛特訓を積んだとのこと。
津軽三味線、続けて欲しいなぁ。

いとの父(とっちゃ)には豊川悦司さん。
山を愛する大学教授であり、文句は言わないものの、メイド喫茶は「あんなの水商売だ」とあまり良い印象を持っていない。
(とっちゃが持ってくるメイドの資料が面白い。
メイドはメイドでも、これじゃねぇ😅)

いとの祖母(ばぁば)には、西川洋子さん。
実際に津軽三味線の名手でいらっしゃるようで、
その存在感は本作でも抜群。
孫のいとに、どんなに煙たがれても全く動じない懐の大きさと、姿や立ち振る舞いが、どれも実に魅力的です。


メイド喫茶の店長、工藤には中島歩さん。
店の従業員には尻に敷かれている感があるのだけど、彼だからこそ醸し出せる雰囲気が、店をちゃんと成り立たせています。
押しは弱いんだけど、彼なりに店を守ろうとする責任感を身につけていきます。
ちょっと佐藤隆太さんに似てますね。


口は悪いけど、喫茶の母親的存在の幸子には、黒川芽以さん。
彼女が作るアップルパイが、店の人気商品。
この幸子のキャラクターの立ち位置が絶妙で、徐々にいとの心を解きほぐしていきます。
いとの髪をすくシーンはもう泣けてきます。
「首もぐど」がイイ。

若手のエースメイド、智美には、横田真悠さん。
モデルさんなんですね。
どこかの雑誌で見たことあるかも知れない。
その可愛さとは裏腹に、決してお客さんには媚びず、「できることはやる、基本自信ないから」という芯の強さも持ち合わせています。


いとの親友となる早苗には、ジョナゴールドさん。
あの王林ちゃんの所属していた、りんご娘のメンバーなんですね‼︎
青森では知らない人がいないくらいの人気だそうです。
いととのシーンがとても楽しそう。




かつて山形の女子高生達がジャズバンドを結成する「スウィングガールズ」という作品がありましたが、こちらは山形弁とは言え、作風は誰にでも楽しめるようにマイルドなものになっていました。

本作は、テンポよく進む物語ではないから、第一印象とは少し違ったものに映るかも知れません。
三味線の奏でる音色が、作品で度々登場する岩木山の姿を思い起こさせ、きっと青森に吹く風は、こんなに荒々しいんだろうなぁと勝手に想像してしまいました。


字幕が必要なんじゃないの?と思える部分もあるやも知れないけど、ここは見たまんま、あるがまんまの作品を楽しむべきですね。

「まま、け」。「か、け」。「へばね」。

見ていると、ちゃんと意味が伝わってきます。



初めはいとが三味線弾き始めた時点でsmoke on the waterとか始まるのかと無意味に期待しちゃったけど、いとの親友早苗と話をするきっかけになるのは、日本が生んだヘヴィメタルバンド、人間椅子。
青森出身だったんですね。
ハマって聴いた訳ではないけど、中学時代にブラックサバス大好きな友達の家で流れていた記憶。
中学でブラックサバスって、なかなかの友達だったなぁ(笑)。


オリジナル脚本の作品かと思ってたんですけど、実は原作の小説があります。

原作では、いとは小柄な少女として描かれており、ばぁばはヴァン・ヘイレンが大好きという設定だとか。
俄然読みたくなってきたんですけど😆


全てのシーンに意味があって、全てのシーンが繋がっている。この作品自体が、糸のように一本の道のように繋がっている。
「わぁの歴史はまんだ、どごさも見当たんね」
これは、「いとが辿る道」でもあります。


日本人だからこそ分かる、日本の映画。
本当に、日本の映画を見て、日本に生まれて良かったなぁ、と心底思いました。

メイド喫茶と三味線という組み合わせは奇抜な入口で、実は青森の歴史であったり、津軽の方言や文化を描きながら、何に対しても下向きな少女が、少しだけ、ほんっとにちょっとだけ、前に進む物語。

平野から臨む岩木山と、岩木山から見下ろす平野の対比が見事。ラストシーン、大好きです。


追記: 結局3周しちゃった😆
DVDにて鑑賞。途中で挫折して字幕付きに切り替えた。
レビュー評価が高いことがわかる素晴らしいキャストと演出。
なぜに主役の駒井蓮って日本アカデミー賞の候補にすら上がってないんでしょうね?
それぐらい素晴らしかった。

ただですね…
この映画ポスターが悪すぎませんかね?ミスリードを誘っているのかもしれないけど観る気を無くすよね?
それと最後の演奏シーンが気になる…

主人公の少しの成長を描きたかったんだと思うけれども、その後の繁盛シーンやSNSで評判になっているところを挟まないと、その日だけ客がいっぱい来てこれからは減っていくように見えてしまわないですかね…
私だけかしら??
横浜聡子監督作品。

青森出身の横浜監督が、青森出身の駒井蓮さんを主演に迎え、青森を舞台に女子高生いとの成長を描いた作品。その成長の鍵になるのは、祖母と亡き母から受け継いだ津軽三味線とメイド喫茶である。なんとも異色な二つの物事が交差して、いとの道をつくっていく。

主人公いとの津軽弁は同じ「日本語」を話しているが、字幕が必要だと思うほどに訛りが激しい。それにはびっくりしたし、メイド喫茶の決まり文句「お帰りなさいませ、ご主人様」が上手く言えず、家で練習している様子はとてもシュールである。

また本作は、いとの三味線が亡き母との記憶に触れたり、友情を育んだり、メイド喫茶の再興になることで人との「絆」を結ぶことを描いている。そしてこのような音楽における「絆」の描き方とは別に、食べ物の差し出しによっても描いていることが面白い。

例えばメイド喫茶の上司である幸子といとについて。幸子は二度、いとに食べ物を差し出している。一回目はいとが客からセクシュアルハラスメントを受けて控室にいる時、いとが負い目を感じていることを叱責するとともに励ましを込めて、デコレーションされたアップルパイをあげる。このアップルパイには幸子のいとを想う気持ちが滲み出ており温かい。対して二回目はオーナーの逮捕を受けて店を閉めることが告げられた時、客が来ず大量に余らせたアップルパイをビニール袋に詰め渡す。このアップルパイはゴミ同然で、店が閉まることのやるせなさと関係の終わりを感じさせる冷たいものである。
このように同じアップルパイであっても、状況や差し出され方などの描き方で違った感情や関係性を示しているのである。

そして何と言っても、いとと父についてもコーヒーの差し出しで物語を紡いでいる。
はじめ父がいとにコーヒーを淹れようとする。だがその最中にメイド喫茶に対する価値観の違いで口論をしてしまい、二人の関係は悪化する。それによりいとは家出を、父は山に逃避してしまう。頭を冷やした父は、いとの働くメイド喫茶に来店する。いとは父の姿をみるや、父が頼んだコーヒーを自ら淹れて父に差し出すのである。渡しそびれたコーヒーが、父のもとに。ここに二人のはっきりした仲直りの言葉や成長はないけれど、確かに絆を取り戻したと私は思うのである。

青森は東京を中心に日本をみれば辺境な地である。そんな辺境な地で、流行りもしないメイド喫茶を中心にシャイないとが、シングルマザーの幸子が、夢みる智美が、夜遅くまで働く母をもつ友だちがいる。彼らはこの社会で周辺化された人たちで、そのような人々を描こうとすると悲惨な物語になってしまう。だがメイド喫茶で人々が集う時、三味線の音楽が奏でられる時、食べ物が渡され食べられる時、笑いやドラマが起こり、絆が取り結ばれる。それは物語として面白いし、かけがえのないことだと思う。

人の集うところに道あり。
いとが喜びに満ちた街に生きることを願う。

蛇足
家出をするいとと山にいく父を、頭を冷やしてこいと元気に送り出すいとの祖母・ハツヱが素敵すぎる。
スクリーンが美しい。自分の居場所で働く人が美しくたくましい。津軽弁、三味線、メイドカフェ、母の居ない家、岩木山をのぞむ町、大好きな1本。
おすし

おすしの感想・評価

2.8
個人的にいとっちのことあんまり好きになれなくて、ずっと邪念を感じてしまった、、、三味線はめちゃくちゃかっこよかった。
2022.6.22
Nao

Naoの感想・評価

3.5
青森の大人しい女子高生がメイド喫茶で働く。津軽弁や三味線が見どころなご当地映画の佳作。朝ドラのような雰囲気で駒井蓮ちゃんは夏帆に似てるなと思って見てた。この世界は模倣で出来ている。
代表

代表の感想・評価

4.2
朝まで飲んでて暇だったので見た
何も期待してなかった。
本当に内容はしょーもない。
でも泣いた。
成長する姿は感動させる。
2021ベスト映画かもしれない
EDDIE

EDDIEの感想・評価

4.3
母への未練、父との衝突、激しい津軽訛りと人見知り…人生は険しく突き進みづらいかもしれない。だけど現状打破のためには自分で動くことが重要!そしたら誰かが助けてくれるから。
懸命に自分を変えようとするいとと個性豊かなキャストに感情移入。涙腺緩むポイント多数な大傑作!

〈感想〉
U-NEXTのポイントが貯まってきたので、そろそろ新作鑑賞に使っていこうとリストを漁っていました。
今年公開作品で配信開始作品はイマイチ琴線に触れるものがなく、昨年多くの方がベストに入れていた印象深いこちらをセレクト。

観る前はあらすじすら把握していなかったのもあり、ポスターで何でメイド服で三味線持ってんだこの子?みたいな体たらく。
青森舞台で三味線が絡んでくる映画だ程度の知識で臨んだ映画鑑賞。
なので、冒頭から津軽弁全開で始まる本編に戸惑いを隠せませんでした。

青森出身の友人はいるので訛りはある程度知っていたのですが、本作で主人公のいとが発する津軽弁はもはや解読不能。
学校の授業で教科書を読むのですが、一瞬外国語?と思ってしまいめちゃくちゃ混乱したほどです。
はい、申し訳ありません。その場にいたクラスメイトたちと同じような目線になっていました。最低です。

そんな彼女は人見知りで会話も辿々しくて、正々堂々と文句が言えるのは父親ぐらい。
こんな自分を変えようと、電車を乗り継いで行く必要のある青森のメイド喫茶のアルバイトへ。
彼女にとっては青森も大都会。

メイド喫茶で働くのは優しい店長の工藤さん、永遠の22歳を名乗る幸子さん、漫画家になる夢を持つ智美ちゃんの3人。
後日、これまた変なオーナーの成田さんに出会うわけですが、彼の行動がきっかけとなり彼らは窮地に立たされてしまう…という内容。

まぁコミュニケーションが苦手ないとですから、メイド喫茶でもじゃがいもの皮むき以外はうまくいきません。
だけど、苦手なことにも果敢に挑み、自分を変えようとひたむきに頑張ります。
人間ってやろうと思ったところでそんなに急成長するもんじゃありません。
そんな簡単じゃないんだけど、本作はその苦手を補う意味で周りの脇役たちがしっかりとフォローしてくれるんですよね。

人間1人じゃ何もできません。
手を取り合って助け合って、そしたら2倍も3倍も力を発揮することができるんです。

個人的には

・いと×父耕一
・いと×幸子

これらの関係がすごく良くて、感情移入してしまいました。
いとと父耕一は何度もぶつかりすれ違います。
しかし、耕一は親として心底娘を心配しているわけです。
少しずつ歩み寄っていって、終盤は彼らのとあるシーンにめちゃくちゃ泣かされました。

いとと幸子はバイトの教育係と新人の関係性。
決して100%の優しさで接してくれるわけではない、時には厳しいことも言われるんです。
だけど、もっと若い頃に母を亡くしているいとにとって、終盤は彼女の母親代わりのように大きな存在に変化していくのが良くて、これまた終盤の2人きりのとあるシーンは涙腺がやられました。

主人公の成長だけでなく、周囲との関係性を深めていくなど人間関係に深みが出るところ、そして親子関係の修復という様々な点において素晴らしい映画でございました。
昨年劇場で観ていたらもっと高い評価になっていたかもなぁ。

〈キャスト〉
相馬いと(駒井蓮)
相馬耕一(豊川悦司)
葛西幸子(黒川芽衣)
福士智美(横田真悠)
工藤優一郎(中島歩)
成田太郎(古坂大魔王)
伊丸岡早苗(ジョナゴールド)
青木(宇野祥平)
相馬ハツヱ(西川洋子)

※2022年自宅鑑賞115本目
love1109

love1109の感想・評価

3.8
おらんどみんな不確かだ。生きるってそういうことだべ。あの独特のなまりで語られたその台詞にほんとうに泣きそうになった。津軽三味線によって奏でられた民謡、ソウルミュージックが素晴らしく、人のつながりっていいなと、真っすぐシンプルに沁みてくる。いい言葉がいっぱいの、いい映画だった。
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