正直、つまらなかった。
妹島和世のあの感覚的な言葉の裏には想像できないほどの過程、葛藤があるのだろうけど。建築作品自体は良いです。行ったこともあります。
現場の映像見れたのは良かったけど、それも無駄が多い気がした、もっと議論白熱みたいなところ見たかった。
事務所にいる妹島さんが奥で作業してるスタッフに「ちょっと静かにして」って言うところが最初の方あるんですけど、ああいうのをこそ映すべき。いや、妹島さんが怒ってるところを見たいわけじゃなく、事務所でどんな姿勢・態度で妹島さんが存在するのか、というのが見たい。
あの膨大な模型がどういう過程で生まれて来たのか、その意思決定はどんな雰囲気のミーティングの中でなされたのか、若手スタッフや現場監督など他者とのやりとりの中での姿こそ見たかった。
スタッフが一人もいないような静まり返った事務所で模型だけ並べ、妹島さんがそれを取り上げて話すのは、作品の制作過程としてはわかりやすいかもしれないけど映像作品としてそれはないでしょう。そういう撮り方しかできないぐらい事務所が忙しいということだろうか。
建築は事務所スタッフ、現場監督、職人、クライアント様々な人の協調で成り立っているというのは当たり前で、妹島さんぐらい名作を生み出す人間にそのコミュニケーション能力があるのは自明だが、これでは妹島和世が一人で考えて、一人で決定して、一人で現場で調整して作っていったという印象になってしまっている。そういう映され方は彼女が望むものだろうか...。まだそんな建築家像を世の中は求めているのだろうか。
