みゆきちゃん

犬部!のみゆきちゃんのレビュー・感想・評価

犬部!(2021年製作の映画)
2.8
この作品を通して殺処分と向き合って欲しいのだろうなという制作陣の意図がひしひしと伝わってくる。
だからこそ、数ある登場人物の中で、林遣都が演じる人物を主人公とした理由がよく見えてこない。
私は動物愛護や地域ねこについては文献や現場担当者へのヒアリングを通してしか学んだことがないが、「殺処分を無くしたい。」と真に願うのなら、獣医という立場で現場の実態をよく学んだ後、行政側の人間として制度から変えていくべきではないか、その方が効果的且つ早いのではと思う。
いつまでも熱意だけでどうにかなると考えている主人公に感情移入できない。現場の実態と向き合わず、光の面だけを見つめ続けて現実を否定し続けるその姿勢に不快感すら覚える。
殺処分について考えること、声を上げることはとても大切だが、人間の意識ひとつで改善されるのなら、とっくにもっと改善されていて然るべきではないか。何故、未だに殺処分等が無くならないのか。実話が土台となっているため仕方がないが、行政側の人間も登場させるのなら、主人公には行政側の課題とも向き合って欲しかった。

視聴後に主人公の土台となった人物について調べたところ、NPO法人の一員としても御活躍されているとのことで、この映画の中での描かれ方に少し勿体なさを感じた。