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ザ・フラッシュのmarimoのレビュー・感想・評価

ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)
4.4
きっと童貞だってバレて死ぬほど恥ずかしいんだろうけどさ
隣のおじさんなんて過去のトラウマが理由で仮面を被ってることバレたんだからな…察してやれ

フラッシュのタイトルロゴが……..出ない笑
大好きですこの感じ

最初っからコメディ要素全振りで
ザック版ジャスティス・リーグの4時間ずっとお通夜ムードとは全く違うエンタメ展開
(ザックも好きですよ)

冒頭の病院での救出シークエンスも超スピードでのアクションが最高に楽しくて
作品への安心感を確信して終始リラックス鑑賞です

赤ちゃんは高速移動させちゃダメなのよ(こういうリアリティ大事です)
よかった、よかった、前評判だけじゃない、ちゃんと面白いぞ

サプライズキャストも含めてDCファンへの目配せ完璧な最高のスタートです

で、
本作1番の不安はマルチバースをどのように描くのか?ってところ

どうも私はマルチバースアレルギーがあるようで
過去のマルチバース作品が、まあとにかく刺さらない
(先日観たアクロス・ザ・スパイダーバースがマルチバースとしてのモヤモヤを打破してくれたのでアレルギー治ったかも)

本作のマルチバース理論ですが…まあ、ありかな(何で上から目線)

タイムトラベル要素も含みつつ、時間改変のタイミングでマルチバースと交差するような感じですかね
この交差時に別のマルチバースにシフトするので、時間軸が分岐するというよりは改変時の条件に近いマルチバースと重なるようなイメージが1番しっくりくるのかな
結果的には別のマルチバースにシフトしているので、当事者の体感としては未来だけでなく過去も置き換わっているような状況(だと思ってます)

トマト缶を買ったとしても、その時間軸で突然マイケル・キートンのバットマンが出現する事はあり得ないので、時間的な分岐ではない
これはトマト缶をカゴに入れたことを起点に、母親が生きている別のバースと交差して、その別バースではマイケル・キートンがバットマンをやってた世界線だったよってこと(だと思ってます)

ただ、そこまで複雑に考えず、タイムトラベルものの時間改変による分岐とほぼ同じものと解釈しても良いかと思います
(バットマンの容姿はシュタインズゲートにおけるダイバージェンスメーターのようなもので自分がどこの世界線にいるかを視覚的に表現したものとして捉えても差し支えはないかと)

これなぜにマルチバース要素で過去ごと変わっていることにしたかは、ただ単に”マイケル・キートン版”のバットマンを出したかったのが大きいのかなと
あとは同時に2人のバリー・アレンを登場させて、時間軸上ではこの2人のバリー・アレンが同一人物ではないこともマルチバースにする必然性だったのかな

一見複雑なもののマルチバース要素がシンプルに出来ているのは
あくまで干渉できるバースはエズラ・ミラー演じるバリー・アレンが時間軸上で交差できるバースに限定されるので
別の次元の別の役者のバリー・アレンが並んで登場とかにはならない
(最後のエズラ・ミラーのバースがリセマラの繰り返しで崩壊しちゃうぐらいの異常時になれば、他のバリー・アレンのバースとも衝突しちゃうよぐらい位置付け)

マルチバースの起点となるフラッシュ自身に対してはキャストによるサプライズはせずに
バットマンのみでキャストのサプライズをおこなうため全体としては散らからない丁度いい塩梅

あとは登場人物が限定されているのもバランスが良かったと思います
フラッシュの他には、バットマンとスーパーマン(スーパーガール)と知名度がめちゃくちゃ高いキャラクターのみなので
マルチバース理論よく分からんってなっても、知ってるキャラクターが、ただかっこよく戦ってくれるので、視覚的な満足度がめちゃくちゃに高い

ゾッド将軍が強いのに、完全にモブ要素になっていることにかなりの物足りなさがあったのと
サッシャ・カジェ演じるスーパーガールが最高に可愛くてカッコよかっただけに
もう少しこのクリプトンまわりのドラマを膨らましてほしかったなっていう欲もあります

一方バットマンは
ティム・バートン版のスーツやバットモービルのデザインが今見てもかっこいいよなって再認識させていただけたり
ジョーカーの笑い袋に思わずファン心くすぐられたり
ただ必要以上にティム・バートン版の世界観の延長って感じではなく、おそらくよく似てるけど別バースかなぐらいの匙加減が
本作に対してもファンに対しても誠実なマルチバースで、すごく印象が良い

時間移動に介入する謎の存在の正体も驚きと納得感の最高のバランス
色々な次元が衝突する際に見せる歴代DC作品への敬意も素晴らしいです

必要以上にマルチバースをせずに、それでも過去作品が存在する世界線をちゃんと描く
また、生み出されずに無くなってしまった作品さえもマルチバースに組み込む優しさ
(ニコラス・ケイジのスーパーマンのいざこざとか知っていたので、振り向いた瞬間に興奮しすぎて声出しそうなのを必死で堪えて変な表情になってました)

マルチバース映画についてですが
おそらくMCU陣営が目指しているであろうMCU以前のMARVEL歴代キャストを勢揃いして並ばせる展開…そりゃ見たいですよ
絶対に興奮するし

でもそれをやることで過去作品に別の意味が生まれてしまったり、過去作でやったことを否定する結果になったりと
色々と綻びが出てしまう側面もあるかと思います

そんな中で今回DCが提示した歴代マルチバースの夢の共演は過去作品に介入せずに過去作品と共存させる最高のバランスだったように思えます
それはなんだかDC映画の展示イベントで歴代作品のポスターやコンセプトアートなどを眺める感覚に近くて
それぞれの大好きなものがそのまま残されている心地よさに浸れます

さて、DCさんがこのフラッシュでほぼ正解なマルチバース映画での歴代作品の共演を提示してしまいました
MCUさんにはこのまま我が道を貫いて、最高のお祭りに向けての各所の調整を頑張ってもらいましょう

マルチバースを抜きにして、本作は向かえる結末が良いです

何度繰り返しても変えることのできない残酷な未来(まゆしいを救うためのタイムリープを繰り返したオカリンを思い出します)
母親との過去は、名作バタフライエフェクトのように諦めることでしか救えない展開だったり
父親との未来は、シュタインズ・ゲートのような「確定した過去を変えずに結果を変える」的な展開だったり
言ってしまえば既視感
だけど良いものは良い
(あっでも冷静に考えると、これらの展開ってマルチバースである必然性はなくて、ただのタイムトラベルものなんだよな…まあ面白いからいいか)

父親の未来改変については、母親の過去改変から何も学ばなかったのかとツッコみたくなる気持ちも分かる

でも、どちらもトマト缶で繋げてるのめっちゃオシャレで良くない?

それに、シュタインズゲート理論での「確定した過去を変えずに結果を変える」に該当するので多めに見ましょう
過去改変ではなく未来改変だし

まあ、厳密にいうとカメラ映像に父親の顔が映っていないというのは、過去に戻る前に確定してた出来事なので、それを変えちゃうと結果的に過去改変になってしまいアウトなんですが
…まあその結果、別のバースにはなっちゃってるっぽいので、そこの影響は出ちゃったよってことで良しとしましょう
(そもそも証拠能力が無いレベルの映像を復元したところで、その復元した加工映像に証拠能力が認められるのか?とか…そんな細かいところをツッコむのも無し!!)

最終的には元の世界には戻れてなくて、バットマンはジョージ・クルーニーになってたり
ここでテンションは爆上がりはするのよ
(ん?でも別のバースってことは、このバースのバリー・アレンが別にいるんじゃない?とか疑問は出てきてしまうわけで)

まあ、DCEUはDCUとして仕切り直すわけだし
些細な疑問や矛盾は全てご祝儀忖度で「うん、楽しかった、最高!!」で締めましょう
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劇場名 :109シネマズ川崎
上映日 :2023/06/18(日)
上映時間:9:20 ~ 11:55
上映劇場:シアター7
上映作品:ザ・フラッシュ[IMAXレーザー・字幕]
座席  :L -22
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