Larx0517

ウィッチャー: 制作の舞台裏のLarx0517のレビュー・感想・評価

3.2
「混乱させない程度に3人の物語を並行させようと」
製作者のこの言葉に、思わずツッコんでしまった。
「充分混乱させてる!」

さらに製作者は続ける。
「今なら視聴者も物語をよく知っている」
つまり視聴者は、ゲーム、原作本を読むことを前提にしている。
  
「ウィッチャー:エピソード撮影現場に密着」e7で自らいっているが、シリは2週間、ゲラルト30年間、イェネファーは90年間、このタイムスパンを、ぶつ切りにして混ぜ込んだのだ。
それぞれに「ラベル」も付けずに。

作品のクオリティは手放しで絶賛するが、製作者の視聴者への配慮のなさは鼻につく。
Netflixだからこそ許されるのだろうか。

このウィッチャーワールドの魅力は、スラブ(ポーランド)民話が欠かせないが、制作陣にポーランド人がいるのには、すごく納得。
ちなみにシリの護衛ラズロ役のMaciej Musialはポーランド出身。

主人公ゲラルトも白馬の王子様とは対極。
そして女性が皆、助けを待っているか弱いお姫様ではなく、強く賢いのが、すごく魅力的。
ポーランド出身のキュリー夫人の伝記にも、ロシア占領下のポーランドが描かれていた。
大国ロシアの脅威にさらされて、絶え間ない戦争のために男性がいなくなると、女性が強くならざるをえない。
自分のなかで小学生の頃に読んだキュリー夫人の伝記とウィッチャーの世界がつながる、不思議な体験ができた。

なにより制作陣がこの作品を愛し、楽しんでいるのが、ひしひしと伝わり、ファンの1人として嬉しい。
Larx0517

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