2号

フェイフェイと月の冒険の2号のレビュー・感想・評価

フェイフェイと月の冒険(2020年製作の映画)
3.0
とにかく展開と感情が全く噛み合わない。月の世界を描いた極彩色のアニメーションは凄いが、ストーリーは全くおもしろくない。
月の女神であるチャンウーのエキセントリックなキャラクターは滅茶苦茶いいが、基本引きこもっているのでキャラクター同士の衝突(=ドラマ)が無く、おもしろさに寄与しない。
逆にチャンウーが卓球するシーンはおもしろかった。
どうせならば主人公とチャンウーを関わらせれば良いものを、チャンウーは主人公に「宝物」を探すための使いに出すだけで関わりがほとんどない。
しかもそのお使いもなんか行ったり来たりするだけ。
それでなんか主人公がチャンウーの心の傷を救ったりする。ナメるな。共感だけで人が救えるか。
あと主人公が月へ向かう動機が「父親と再婚相手を別れさせる」という死ぬほど後ろ向きなのがもうダメ。まず共感が1ミリもできないし、月へ着ても「ヤッターついに月へ。これで父親と再婚相手を別れさせることができる…!」と盛り上がるわけもなく、むしろそんなことのために月まで行く宇宙船を開発する主人公に恐怖すら覚え、ただただ心だけが離れていく。
折角素晴らしい月のアニメーションと魅力的なチャンウーを全体的に活かしきれてない印象。そもそも月に行くまでに尺を割きすぎているのでは。
せっかくアメリカで中国文化を描いた映画なのでもう少し頑張ってほしかったです。
これを「中国文化へ敬意を払ってる……ポリティカルコレクトネス……!」と雑に褒めるべきではない。いや敬意は払っているのかもしれないけど、面白くなさすぎてディスリスペクトが発生している。
素材は大切に。
2号

2号