歪み真珠

女は女であるの歪み真珠のレビュー・感想・評価

女は女である(1961年製作の映画)
-

23歳 乙女座のアンジェラ。 ミスディオールのCMでナタリー・ポートマンが「What would you do for love?」と聞くあれを現実でやってる小生意気な、堪らなくキュートな女の子。コケティッシュとは彼女のためにあることば。
「恋のゆくえ」で書いた感想を流用するならば、私の心の性感帯に触れる、かなり好みの映画です!ゴダールへの苦手意識が吹き飛びました。なんて多幸感溢れる、可愛らしい映画なんだ。次にゴダールを観るならどんなものがおすすめですか?教えて、詳しいかた。

印象的なのは赤と青の使い方。画面のどこかには必ず二つ以上その二色が使われている。とくに好きなのは二人のおうち。赤いランプ、赤いブランケット、そして赤い薔薇とアンナ・カリーナの赤いクルーカーデ!花の活けかたは是非とも真似したいもの。白い陶器の花瓶にクリーム色の薔薇十本ほどと赤い一輪の薔薇が一緒にさしてあるの。でもいやらしさなんて微塵もなくて。映画って『映像の画』なんだって改めて思った。
アンナの衣装がその赤と青とを上手に使ったキュートなフレンチスタイルであることは言うに及ばず。ヘアスタイルも真似したい。午前中に予定があった私は偶然にもアンナと似た夜会巻きをしていて、映画を見ながら解き、ミーハー心満載で彼女の緩い夜会巻き風のヘアアレンジを真似した。観察するにあれは夜会巻きのしっぽ部分を中に隠さず、そのまま頭頂部分で止めているってことですよね?
お互いを罵るやり方だって可愛いのだ!おふざけ半分、本気本分のやり取り。私も恋人としたい!したい!!

いつもこの映画を手元に置いておきたいから、アマゾンで注文しようと思う。教授から借りた作品だけど自分でも買ってしまおうではないか!あの地味な雰囲気の男性教授がこの映画を持っているなんて、全く人は見た目によらない。

買わなきゃいけない、もうひとつのものは赤いクルーネックのカーディガンでしょう!今はユニクロで我慢でも、ゆくゆく手に入れるならば、やっぱりジョンスメドレーの赤がほしい。それと青いドレスも素敵よね、あぁいう形のものはどこで手にはいるのかしら?とりあえずチェックすべきはTOMORROWLAND?あっ忘れてはいけないのは赤い傘もね。そりゃあFOXのものが大本命だけど高いからまずはWAKAOの傘がいいかしらね…などと欲望と妄想はつきない!!

撮影当時、ゴダールとアンナ・カリーナは恋人同士で、そのあと結婚したと聞いてますますときめいています。

男と女なんて、わかりあえなくてもいいからさ、きちんと見て、思ってちょうだいよ。愛するがゆえに言葉を愚直に受けとる男と言葉で挑発する女。発音がちょっとばかり変な、ちゃんとコミュニケーションがとれるかあやしい彼女の不安定さは、まさに男女の会話の不安定さ。だって、男女は本のタイトルを使って会話したり、合図にならない合図を使って会話をするんだもの。
この映画を可愛いと思うのは、アンナ・カリーナがキュートだったり、インテリアが素敵なのはもちろんだけど、それ以上に男女のやり取りが可愛いと思うのだ。いや、これを可愛いと言っていいのか。男と女は体を繋げることができるけど、言葉を繋げることはできるのか。でも男女の関係は、恋人同士の関係とは、結局のところ『言葉』によると思うのだ。私はその繋げる言葉に挑戦し続ける関係でありたい。きっと彼ら三人もそうだろう。だから会話し続ける。
シャルル・アズナヴールの「Tu T'laisses Aller」これを聞いて好きだというアンジェラ。まだ私はわからない。

音楽はシェルブールの雨傘のミシェル・ルグラン。これについては我が母の方が嗅覚が鋭く、私の隣で書き物をしながらそれとなく見ていた母は「シェルブールの雨傘に雰囲気が似てるわね」と。調べたらそもそもこの映画がそういったミュージカル映画に影響を受けてるらしいですね。


泣かない女は排斥すべき!Oui, c'est encore plus beau !
そのためにも明日には白い薔薇十本程度とひとつの赤い薔薇を買いに行かなくちゃね。涙腺に節操がないことと、好きな男の前で泣けることとは違うから きちんと泣ける女になるために。

(23歳双子座、涙腺に節操がない女より)