福福吉吉

映画 太陽の子の福福吉吉のレビュー・感想・評価

映画 太陽の子(2021年製作の映画)
3.5
◆あらすじ◆
第二次世界大戦末期、軍の命令により京都帝国大学の物理学研究室では原子核爆弾の研究開発を進めており、その中に石村修(柳楽優弥)もいた。そんな中、幼馴染の朝倉世津(有村架純)が州の家に居候することとなり、また、出兵していた弟の裕之(三浦春馬)が帰宅し、久しぶりの再会を喜んでいた。しかし、1985年8月6日、広島に原子爆弾が落とされ、戦況は悪化していく。

◆感想◆
第二次世界大戦中の日本の原子爆弾の研究開発という点に特徴のある作品と同時に、戦争に翻弄される3人の若者の「国のために」という建前を取っ払ったありのままの心情を描いており、それが画面からしっかり伝わってきました。

石村修は京都帝国大学で原子爆弾の研究に携わっており、無類の実験好きの物理学マニアとして描かれており、あまり国のためという匂いが無いキャラクターになっていました。アメリカによる原爆投下後の彼のそれでも物理学を止められない姿が印象的でした。

その弟の裕之は兵士として出兵後、一時帰宅で戻ってきます。兄思いの良く出来た人物ですが、その裏では戦いへの恐怖や家族と離れる悲しさを堪えていて、とても感情移入しやすいキャラクターでした。

そして、石村兄弟の幼馴染の朝倉世津は表向きは軍の習わしに従いますが、2人の前だと戦争の不必要さ、未来を見る必要さを隠さず言い放っており、2人との親密さが分かるのと同時に一番現実的な視点を持つキャラクターになっていました。

核兵器が未だに世界を恐怖で支配する基礎となっている現代において、科学の在り方を問うとともに、それより大事なものがあることを3人の若者たちの姿を観て感じる作品となっており、観て良かったと思います。

鑑賞日:2024年1月26日
鑑賞方法:Amazon Prime Video
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