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天外者のrncのレビュー・感想・評価

天外者(2020年製作の映画)
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辛い…何が辛いと言えば、これが三浦春馬さんの遺作になってしまったこと。

雰囲気に合わない軽い音楽、安っぽい明らかなセット感、使い古された侍へぼ役者、頭の痛くなる様な演出の数々…。
セリフが文字として見える、日の光から照明の無機質さを感じる、石垣がハリボテのそれだと分かる…アウトな場面が多過ぎた。

よくもまぁ、これを世に出せたな、と言うのが観賞後の素直な感想である。

評判が良く、他の作品が混んでいなくとも、天外者のスクリーンには観客がゾロゾロと入っては出てきた。

現に、本日私が鑑賞した回では、クレジット後とメイキング映像後にどこからともなく、割れんばかりの拍手が起こった。

そのマダム達は、口を揃えて傑作だと涙ながらに語り映画館を後にしたが、果たして本当にそうだろうか…。

今まで映画に触れて来なかった人間、映画館で鑑賞する機会がなかった人間が、これをきっかけに、彼女達にとっての新しい娯楽を見つけることができたなら、喜ばしいことだ。

しかし、どうだろう。
チケットの買い方が分からずスタッフに尋ねる者、チケットカウンターにて「前売り券を買っていないがどうにかして観る方法はないか?」と問う者…。三浦春馬さんの等身大パネル前で列をなし、騒ぎ立てる者(これは他の作品でも偶に見受ける。主に子供向け作品で、だが)。
明らかに映画・映画館慣れしていない人間の行動である。
上記に関して特に咎める気はない。
だが、彼女達の言う“傑作”の物差しは何で構成されているのか、いささか疑問であった。

と同時に、やはりこの世間の評価は色眼鏡、もしくは物差しを持たないマダム達によって釣り上げられたものであると、認めざるを得ない(もちろんあくまで個人の意見である)。
理由は冒頭の通り、俳優 三浦春馬個人を除いて、それこそ拍手を送りたくなる様な場面は私には無かった。

監督、脚本、演出、音響、美術全てにおいて課題しかない。三浦春馬さんをはじめとする役者数名の功績であって、間違ってもあなた方ではない事を、認識してほしいものだ。
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