このレビューはネタバレを含みます
自己表現が苦手な女の子が、阿波おどりとの出会いを通じて1つ成長する物語。不器用な母との関係性もポイント。
以下、主観的な感想です。
画として美しさがある一方で、全体を通したメッセージがやや絞りきれていない印象を受けました。阿波おどりというテーマが先行し、そこにキャストを揃え、画としてかっこよくなるように(ヴィジュアル先行で)形にした、そんな風に見えてしまいました。
ストーリーの起承転結がやや浅く、23分ほどの本編のなかで、登場人物たちの内面やキャラクター性を理解するには至れませんでした。この短時間においては、キーになりそうなキャラクターが多かったのかもしれません。目線が散らばり、いろんな展開を予測してしまったために、結果、盛り上がりのシーンがインパクト負けし、だらっと終わってしまったような印象を受けてしまいました。
阿波おどりという芸能を映画の題材として扱うに辺り、彼ら自身を演者として登場させるのはやはり映画としては無理があるのかな、とも思いました。
いっそドキュメンタリーにしてしまった方が、純粋に阿波おどりの美しさや、得られる成長、地元の方の真剣な姿勢など伝えられるかと思いました。
他方、ストーリーを大切にするのであれば、もう少し主人公の素の部分が出て、ハッピーなシーンを見せた方が、落ち込んだときの降り幅も広がりインパクトがあったかなとも。主人公がどんな人なのか、もう少し『彼女らしさ』がでた方が、共感が進み没入できたかなとも思いました。
会話(演技)、及びカットの繋ぎのテンポも、もう少しよくできたのかなと感じました。
コロナ禍で開催が難しく議論ある中、本作を通じて阿波おどりに触れられたことには感謝です。
演舞場で、光と観衆を背に踊る主人公の姿を見たくなりました。