鬼島一郎

ミッドナイト・スカイの鬼島一郎のレビュー・感想・評価

ミッドナイト・スカイ(2020年製作の映画)
4.2
トゥモローランド以来5年振りに見たクルーニーは還暦前とは思えんくらいに老け込んでて。
内容も相俟って重い……
地球発のSFはどうしてこうハッピーにしてくれないのか?
 
おはなしの整合性がとにかくつっこみどころ満載というか、冒頭から状況説明がざっくりすぎて未消化のまま雪崩れ込んでいく。
地上に残った主人公(達?)と宇宙に残っている乗員達それぞれの動きも、個々の紹介が甘くていまひとつ掴めないまま進んでいく。
 
荒廃した地球に残るのか、新天地を目指すのか。
宇宙船は単独でどうしていたのか、どうするのか。
地下へと避難した人々はどうなったのか。
ただ独り避難しなかったのは、避難しなくてよかったのはなぜか。
謎の少女はいつから、どうして、いや一体?
気になっちゃうと締まりきらない結末に不満はつのるものの、シーンごとの出来がまーーー素晴らしくて許しちゃう。
 
極寒の地を往く場面もかっこいいし宇宙船の内外の様子も美しい。
お約束の船外活動時のあれこれもわくわくハラハラするし、地上に残した家族の立体映像で癒される様子も素敵。
老人と幼女、船内で妊婦を労わるクルー、回想シーンでの男女のすれ違い…どれも完璧に出来過ぎたとりあわせを過不足なく仕上げてて、場面ごとにいい案配でマッチした音楽が挿入されるのでもう満足よ満足。
調子のってフラグたてて唄って人災じみた惨事むかえても許す。
 
誰が幸せな結末を迎えたのかを思うとただただ重いなぁとしょんぼりしてしまうけれども。
 
ネトフリの先行上映らしいけど劇場で観れて良かったと思う一本。
鬼島一郎

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