R

記憶の技法のRのレビュー・感想・評価

記憶の技法(2020年製作の映画)
3.5
とあるきっかけで自分が養子であると知った女子高生・華蓮が、自分のルーツを探していくうちに、家族に隠された秘密に迫っていくミステリームービー。

吉野朔実の同名漫画を原作に、石井杏奈主演で映画化。


作品全体に漂う、どこか掴み所のない、ミステリアスな空気。
石井杏奈演じる華蓮の「健全性」と、作品の世界観を体現するかのような少年・穂刈のコントラストに惹き付けられる。



人は誰しも忘れたい記憶、忘れてしまった記憶がある。
でもきっとそれは心の防衛反応でもあって、それと向き合おうとすると強い痛みが伴う。
自分の出生に隠された秘密とまっすぐ向き合う主人公の姿に痛ましさも覚えながらも、その先に見えた「答え」には救いを感じた。


出生の秘密が明らかになるうちに、次第に不穏な空気感が増してくるのだけれど、ラストはどこか爽やかで心あたたかくなる。


漫画らしいベタな展開もありつつも、ミステリーとしてしっかり楽しめる一作です。
R

R