このレビューはネタバレを含みます
舞台挨拶あり
小旅行という舞台設定や前半あたりの映像については違和感が残るものの、セクハラについての多様な捉え方を描く話し合いパートについては観ていてとても苦しく、引き込まれた。キャラクター設定だけ詰めてから台本なしで撮影されたそうで、あの臨場感と緊張感に納得がいった。
木下さんという人物がかなり面白いキャラクターだなと思う。一貫して早紀さんの味方のようであって、義務的な正義のようにも感じる。監督がそれは毒親のような愛で、客観的的に見ると愛ではないように見えるとおっしゃっていて納得した。
結局のところ、あの場には早紀さんの気持ちを考えてる人なんて1人もいなかった。寄り添おうとしてる人なんていなかった。職場の人たちはあくまでも職場が同じだけの他人だからそんなものなのかもしれないけれど、彼女には支えてくれる友人はいなかったのか?家族は?というところが気になる。
それからこの映画を観てセクハラについて考えたことだけど、ある程度の価値観のすり合わせ、というか「これをされたら嫌な人がいる」ことを知るのはこういった被害をなくす上でとても重要なことではないかと思った。人には想像力があるんだから人がされて嫌なことはしなければいいのにと思うけど、残念ながらそれが考えられない人が存在するからハラスメントはなくならない。し、自分がされてもなんとも思わないけど他の人はそうじゃないこともある。ガイドラインはもちろん、こういうのは嫌!ってこと、そしてそれがどれだけ不快かってことをみんなで話し合う機会が増えれば良いなと思う。
みんなが他人の気持ちをもっと考えられるようになったらもっと素敵な世の中になるのにな。ハラスメントがなくなって安心して全員が働ける社会が来ますように。