ゆうひ

ホステージのゆうひのネタバレレビュー・内容・結末

ホステージ(2005年製作の映画)
1.5

このレビューはネタバレを含みます

悪い意味で、想定外が起こりまくる作品だった。ブルースウィリスの無駄遣い。冒頭の事件の残酷さから、「セブン」ばりの胸糞展開も有り得ると覚悟したが、下記のようにことごとく裏切られた。

・冒頭のデキる世捨人風なタリーを見て、きっと過去にある失敗をした彼のヒーローストーリーなんだろうと思った。が、この年で失敗してからの、その後の話だった……。

・交渉人タリーが、全然交渉しない。短気で、考えがそのまま口から出るタイプなので、交渉できない。自信だけはある様子。

・子どもを死なせるという重い過去を背負った男が、田舎に引っ込んで……という展開とはミスマッチな、部下への声掛け(深みがない)

・タリーを遥かに凌ぐ交渉術を見せるスミス氏。「あ!彼との掛け合いで面白くなるのか!?」と期待したが、序盤のうちに意識を失ってずっといない。ラストでは巧みな心理戦で敵に隙を作ったが……彼で広げた方が面白かったのでは……。

・トミーが賢い子だとわかり、「あ!この子の活躍と危機で面白くなるのか!?冒頭の子との対比!?」と期待したが、名犬程度の働きしかしなかった。死にかけたりもなかった。

・兄弟ながらこんな運命になった犯人への皮肉が中途半端。物語に直接働きかけることなく終わった。

・マースが悲惨な過去&サイコっぽい性格なのはわかったが、ラストに向けての自暴自棄なまでの攻撃行動の動機がフワッとしてる。ダメージ負って急にスプラッターヒーローみたいな不死身のバケモノ感を出してくる。血にしか興味のない殺戮マシーンみたい。でもエロにめっちゃ興味ある。でもあんなに時間あって犯しきれない。童貞?

・敵のボスがタリーの過去を知ってる口ぶりで話してくる。まさかタリーと何か因縁が?と思ったがなんもなかった

・タリーが勢いとアクションと運だけでラストまで乗り切る。が、ゆーてそこまでアクションしていない。強引なだけ。

・何で最後空が赤くなったの?そういえばオープニングもそういうタイプのアートだった。じとっと不安を煽る知的で憂鬱な感じのアートだと思ったが、リスク度外視で強引にいくタイプの主人公に合わない。

・ジェニファーが露出多い服装と挑発的な性格で父親に注意されたりする→犯人に犯されそうになる。という部分の想定だけは当たった。しかし大したエロさえなし。とりあえず最後まで完全着衣。

主な裏切りポイントは以上だが、まだ書き足りていない気もする……とにかくすべて中途半端だった。

読み取れそうなメッセージとしては、「人間最後は小手先の交渉なんかよりハート。自分の大切なものを体張って守ってくれた人には、恩返しする。お互いの大切なものを守り合う……これこそが真の交渉だろ!」みたいなこと?
敵がパニックを起こしたりサイコだったりで交渉にならないのも、「こんな風になったら交渉なんて無意味だぜ?」というメッセージ……?
最初から「交渉なんて」ってことでいきたかったからこうなったのか?
そうだとしても目を見張る交渉術があってこそ活きると思うのだが。

目的の「天国は待ってくれる」のDVDの隣に「FARGO」のDVDがあった。それが実はこの映画の答え?
FARGOのようなお粗末な展開で皮肉を効かせつつ、スミス氏とのハートの繋がりで差をつけたかったのか?
だとするとアクションやホラー展開は不要だし、音楽や風景にもう少し情緒を持たせてほしかった……。

そう言えば、この不完全燃焼感。どこかで味わったことがあると思ったが、「ラストサマー」だ。
ゆうひ

ゆうひ