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映画大好きポンポさんのkakakaのレビュー・感想・評価

映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)
3.6
映画の都「ニャリウッド」に「ポンポさんが、来ったぞぉー」と、どうみても幼女の容姿なのに脚本も書ける敏腕映画プロデューサーという、バキバキのファンタジー設定ながら、その実、本編では、ほとんどこのポンポさんにスポットはあたらず、あくまで本作のストーリーを牽引するのは、ポンポさんにその才能を買われ、初の長編映画作品の監督に挑む、地味な映画好き青年の物語だ。
本作が渋いのは、映画の撮影パートにもドラマはあるのだが、本当に主人公が苦心し、悩み、成長し、本作を輝かせるのが「編集」作業パートにあることだ。
本家アカデミー賞にも「編集賞部門」はあるわけだが、このエディターの仕事が如何に映画作りに作用するのかということが、アニメらしい誇張と共に分かり易く実感出来るのが良いし、勉強になる。
萌えを押し出した作品ではなく、物づくりに悩み、そしてその先のブレイクスルーを描く、硬派なクリエイターものの作品でした。
ただ、映画の後半にかけて主人公が作品作りに悩む葛藤と、彼自身が作る映画の中で葛藤する登場人物の心情がリンクし、クライマックスに向けてドライブがかかるのは感動的なのだが、映画作りの資金集めのため、頭取たちを説得する銀行員のセリフが最後まで小骨のように引っかかって消化出来なかった。
「何もない人のための映画を作らせてやってくれ」
映画が作れるか、資金が集まらずお蔵入りになるかの盛り上がるシーンなのだが、そもそも個人的に何もない人間が感動できる程、映画は優しくないと思います。
知識や思い出、リテラシーがあってこそ映画は本当に楽しめるはずなので、「何もない人」のためのものが、映画である必要はないのでは?と感じてしまうわけで。
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