まつけん

トゥルーノースのまつけんのレビュー・感想・評価

トゥルーノース(2020年製作の映画)
4.0
『トゥルーノースTrue North』 2020年 日本・インドネシア 94分
10年かけて北朝鮮の脱北者、元看守からの証言を元に作られた、強制収容所を舞台にしたある家族の物語。お昼に観た「映画大好きポンポさん」とは真逆の映画。元気を貰うとかとは別で、ただ事実であろうスクリーンで起こることに息を飲む。

【あらすじ】
1960年代の帰還事業で日本から北朝鮮に移民したパク一家は、平壌で幸せに暮らしていたが、突然父が政治犯の疑いで逮捕。家族全員が突如悪名高き政治犯強制収容所に送還されてしまう。過酷な生存競争の中、主人公ヨハンは次第に純粋で優しい心を失い、他人を欺く一方、母と妹は人間性を失わずに生きようとする。そんなある日、愛する家族を失うことがきっかけとなり、ヨハンは絶望の淵で「生きる」意味を考え始める。
【感想】
全体通して、非常に重たくて苦しい、目を背けたいシーンもたくさんあります。ただ、絵がちょっと前のゲームのポリゴンみたいなので少し緩和されて成り立っている気がする。これは映画の世界ではなく、スクリーンの裏にある現実を元にしている訳で…そこで生きる人々の毎日の葛藤と諦めと、それでも前を向く気持ち、彼らの中では10年、それが90分の映像で痛いほど伝わってくる。。今も12万人が収容されていると言われる政治犯収容所。ユダヤ人強制収容所と同じ、未来が全く見えないこの辛さは想像がつかない。。どうして人はここまで残酷になれるんだろうかね。小学生から10年も収容所生活を送り、収容所の中で少しでも権威を得ようとゾンダーコマンド的な仕事に就いたり、時に家族を失い、時に仲間を失い、残された者たちに芽生える絆、、救われない日々の中でも少しでも前を向いて生きていく。映画館じゃなかったら、凝視出来ないかもしれない。
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