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すくってごらんのryoshagadelicのレビュー・感想・評価

すくってごらん(2021年製作の映画)
3.6
モノノフとしては我らがリーダー百田夏菜子の主演作を観ない選択肢はない。

リアリティを徹底排除したミュージカルファンタジーでキャラクター以外の全モブが顔を隠してたり、セリフが韻を踏んでたり、1シーンがあえてつながってなかったりと、コメディかつめっちゃアートでかなりカッコよい作品だと思う。

監督の言ってたとおり映画館の音響はとても大事。歌ものばかりの音楽映画ではなくて、最初から最後まで同じ音色を使うまいという意志や、シンプルなアコギ歌ものからWARPのIDMみたいな曲までジャンルに依存するまいという意志のようなものを感じて、これもカッコよい。

そんなアートでミュージックなカッコよさをまといながら、尾上松也の出てるシーンのうち9割は笑っていて最強のコメディアンぷり。顔の筋肉どうなっているのか。
なのに歌は倍音豊かな声色と強い歌唱力でうっとりさせてきて、うすうす気づいてたけど尾上松也大好きかもしれない。

我らが夏菜子は、こんなに美しかった…?というのがまずあって、関西弁よく頑張ったねってのがあって、ピアノ練習する時間なんて貴方にないよね?という驚きとともに、夏菜子じゃなくて吉乃さんにしか見えなかったし、歌がまったくももクロでの表現と違っていて、そして大事なことなので二度目だけど目が潰れるほど美しかった。

モノノフのいけないところは、やはり夏菜子のことを考えながら観てしまう部分があって、そこは若干作品への冒涜だななんてのも思いつつ、エンドロールの「Piano 百田夏菜子」で泣いてしまうからやはりダメだと思う。

この傍らで「ももクロchan」という番組ではどうかと思うくらいダメな夏菜子がいるわけで、天才とは老人と赤子が共存した存在のことである。みたいな人だと思う。夏菜子は。
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