黒萱

The Most Dangerous Year(原題)の黒萱のネタバレレビュー・内容・結末

The Most Dangerous Year(原題)(2018年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

トランスジェンダー映画祭2023夏配信にて。
字幕でトランスジェンダーの人を「混乱してる」と言う言葉を見るのが辛かった。全く受け入れない人たちの言葉が痛かった。
当事者のそばに理解のある親御さんがいると安心する。

トランスの人が性自認に基づいてトイレを使用すると女性用トイレに「女性だ」と言って入る男性が出ると日本で言われているのは知っていたが海外でも強固に言う人々が居て、法律まで作られたと想像もしていなかった。犯罪者とトランスジェンダーが結びつくなんて考えもしなかったから。トランスの人々が自分らしく振舞うことが何故犯罪者の行動と混同されてしまうのか疑問に思った…。

自分らしい自分で居られないなんてどれほど辛いのか。トランスの人々が安心して自分らしく生きていけるような世界になって欲しい。自分を抑え込んで、鬱や不安障害になったり自殺することがなくなって欲しい。

人が男性と女性に「完全に」分かれるなんて、機械のように人間が生まれる訳は無いと皆が理解していたら良いのに。体も心も。人は千差万別で、それこそ「男らしく」「女らしく」といった縛るような思い込みも無くなれば良い。もっと自由に生きられたら良い。自分の中にある様々な感覚、感性は個々の人それぞれのものなのだと皆が思っていたら良いのに。そうすれば自分も、他人も生きやすくなると思う。

作中出て来た言葉のように「トランスジェンダーの女の子も女の子、男の子達も男の子」だと反対派の人達にも理解出来るように知識が共有されたり教育がしっかりなされるようになったら良いな。

トランスジェンダーが性自認に基づくトイレや更衣室を使うことに怯える人々の怯えがもし虐待や性被害の影響があるなら、それは個々の心のケアが充分になされるべき。犯罪を犯す男性に恐怖心があるのなら、それは犯罪者が罰され、罪を犯さないように防犯策を立てたり被害者が出ないようにする事を考えるべきであって、トランスの人々の尊厳を傷つけることが正当化されてはいけない。知らないから怖い、というのはあるのかな…。作中でもトランス支持側の人達が反対派の人の怯えを否定しないと言っていたのは良いなと思った。
傷つけたり争いたくないのに、対話をするってとても難しく思える………

不快だからといって尊厳が傷つけられて、差別が許されることはあってはならない。
当事者が反対する人も良い人なのだ、自分の魂を黒くさせたくないというように言っていたのも心を打った…。
黒萱

黒萱