COZY922

セブンのCOZY922のレビュー・感想・評価

セブン(1995年製作の映画)
4.3
キリスト教の七つの大罪をモチーフにした猟奇連続殺人事件。「暴食」「肉欲」「強欲」「憤怒」「怠惰」「嫉妬」「高慢」。それぞれの罪を犯した者が何者かによって殺されていく。前半はひたすら雨が続き画面は終始暗い。それと歩調を合わせるかのようにカメラの位置は低く地を這うように進む。陰鬱な空気。まるで、恨んでも仕方のない天気を恨み、どこにもぶつけようが無く溜め込んだ感情を ぶちまけているようだ。

7つのうち5つまでが執行され、残りは「嫉妬」「憤怒」の2つとなったあたりで様相はがらりと変わる。それまでの天気が嘘のような青空。初見の時はただただ衝撃的で 考えもしなかったけれど、結末を知って 2度め3度めと観ていくと、この天気は犯人の心象風景なのではと思えてくる。何かを成し遂げ 満悦した犯人の薄ら笑いが浮かぶ。

七つの大罪は、程度に差はあれど誰もがカケラくらいは持っているものだ。それを裁こうとする犯人は、つまり、自分自身も含めて 人間が嫌いなのだろう。

誰1人として救われない映画なのに とても惹きつけられる。観れば観るほどに奥深く 良く練られた脚本だと思う。キャストも完璧。

最後の晴れ渡った空と乾いた風景が 底知れぬ虚無感を煽る映画。
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