高校生の頃、父に勧められて鑑賞。観終わってからすぐに2回目鑑賞。それ以降、何度も何度も観ている作品。
なんとなく見始めただけだったのに、オープニングから完全に心を奪われた。今や多くの評価を受けるあのカッコ良すぎるオープ二ングも、最初はジョン・ドウの作業工程なんてことは知らず、何をやっているかさえ分かっていなかった。
ただヴィジュアルと音楽と雰囲気で魅せられていた。
この作品にとって七つの大罪はそれほど重要ではないという意見も多いが、私はこういった"いかにも"な素材やモチーフに惹かれてしまうため、血で大きく書かれた文字にはゾクゾク。そして各々の罪に沿った残虐的なグロいやり方にもゾクゾク。
私はこの作品の中で好きな表情がふたつある。
ひとつは、やっぱりラストのミルズ。パトカーに乗せられて、呆然とするあの表情。"無"という感じ。演じるうえで一番難しいのは、"無"ではないかと思う。それを、高校生だった私にもわかるくらいハッキリと演じたブラッド・ピットは凄い。
もうひとつは、ミルズの妻がサマセットを呼び出し、子どもができたことを相談するシーン。サマセットが、「もし産むのなら、思いっきり甘やかして育てろ。」と言ったあとの、グウィネス・パルトローの表情。何とも言えない。たまんない感じ。あれは女性だったら涙をそそられると思う。
彼女は私の中でやっぱりアイアンマンのペッパーのイメージが一番強いので、こういう繊細な演技が新鮮だった。
あと、サマセットが初めてミルズで3人で食事をするシーンでの、"揺れる家"のくだり。あのモーガン・フリーマンの笑いの演技は凄い。本当に面白そう。つられる笑い。それを演技でできるのは熟練の技なのかなあと思った。
あーあと、俳優の名前は全く知らないけれど、肉欲の事件で、娼婦を脅されながら殺した人の事情聴取のシーン。泣きながら、パニックになりながら、神に助けを求める演技は凄かった、、、演技とは思えなくて、ゾッとした。
結末については、様々な憶測があるけれど、私はあまり気にしていない。
ただこの作品の不思議なところは、観終わったあとに妙に爽快感を感じること。もしかしたら私だけかもしれないけど。
あんなに最悪なラストなのにどうして？と疑問に思っていたが、ある人に「極度の緊張感のあとのカタルシスなのでは？」と言われ、少し納得した。
普通後味が悪い作品は観るのに体力が必要だし、何度も観たいとは思えない。
しかしこのセブンは、映画史上トップクラスに後味が悪いとされているのに、なぜか定期的に観たくなる。そんな不思議な魅力のある作品。
