たいち

ドライブ・マイ・カーのたいちのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
3.9
俺は村上春樹の作品を何一つ読んだことがない。でも、大のヤクルトファンということは知っている。ファンクラブの名誉会員の1番が出川哲朗、2番が村上春樹、そして3番がさだまさしということも知っている。ヤクルトについては全然知らないのに。

好きだった人が「sputnik sweetheart」と書かれたTシャツを着ていて、「何のTシャツか分かる?」と聞かれたことがある。無知な俺は「スプーツニク スウィートハート?」と答えた。その日以来、その人とは連絡すら取っていない。「『スプートニクの恋人』でしょ?春樹の作品は全部読んだけど一番好きかな」と答えていたら、ワンチャンあったかも。いやまぁノーチャンだろうけど、「コイツ分かってねぇな」と思われたままなのは嫌だな。
俺もデート相手が「園子温」のことを「そのこおん」と言っていて、一瞬で冷めたことがある。でも、よく考えたら初見で「そのしおん」とは読めないよな。かなり心が狭かったと思う。

俺は会話相手が言い間違いをしたとき、ほぼ100%指摘する。親しい間柄でもそうでなくても。正解を知っているのに黙っている状況が耐えられない。もちろん、一瞬だけ気まずくなるけど、黙っているよりはよっぽど良い。人と人が向き合うということは、気まずさを乗り越えることだと思う。

(めちゃくちゃ無理矢理、今作に話を繋げますね♡)

家福悠介は妻と向き合うことから逃げていた。自分の一言で二人の関係性が変化することを恐れ、現状維持を選んだ。でも、妻はそのことに気づいていたし、向き合うことを望んでいた。そして現状維持できるはずの日常は突然終わりを迎え、向き合わなかったことを後悔する日々が始まる。ただ、渡利との出会いをきっかけに悠介に変化が生じる。向き合うことに遅すぎるなんてことはない。この映画は向き合うべきときに向き合えなかった人に対する救いだと思う。

相反するような事象でも矛盾することなく共存するという旨の渡利の言葉が印象的だった。

(流石に無理がありました♡)
たいち

たいち