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ドライブ・マイ・カーのseiitaishogunのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
4.0
映画の中のテンションは起伏少なく一定なんだけど、美しい言葉の並びと空気感が心地よくて飽きずに入り込めた。村上春樹を実は読んだことがないんだけど、読もうかなと思えた。3時間の間をたっぷり使った贅沢な作りの映画。

最初は独立して見えていた、劇中の戯曲のセリフと、妻が語る創作脚本の内容と、主人公の状況や心情がだんだん重なって一つの答えを語っているように聞こえる緻密な脚本の妙。

ドライバーのと絶妙な距離感も良かった。近付きすぎず遠すぎず(でもだんだん主人公の車内の座る位置が変わっていく)、お互いの心の傷が癒やされていく感じがじんわりと良い。

長い長いセリフの積み重ねによって登場人物のディティールが、彫刻みたいにだんだん形作られていく構成が面白かった。
多くを語らず視聴者に行間を読ませる感じの映画だった。

好きなカット:車の天井窓から2人がタバコを出すシーン。タバコが線香のメタファーだなぁと思ってたらモロ線香代りにしてたシーンあったな。
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