この映画にはたくさんのテーマが込められていた。三時間という時間を感じさせないが、人間の本質や重みを感じられる作品であった。
真実と現実は誰であっても異なることがあるのだろう。
浮気を見て見ぬふりをしていた主人公は妻を失いたくない一心で見て見ぬふりをしてやり過ごしてきた傷が再生していく姿がなんとも人間らしく、言葉でなく、感じる何かがそこにあるのである。
妻が死んでしまった今、主人公は真実を知ることはできず、現実のみが重くのしかかり、認知的不協和を抱えながら、自分なりにいい解釈をして生きてきたと同時にその解釈が崩れる瞬間が何とも痛々しく、共感できた瞬間であった。
演劇というある種役割を演じる役者と演じる人間そのものの二面性が誰にでもきっとあるのかもしれない。
言葉では上手く表せないけど、とにかく感じる映画であった。