あやこす

ドライブ・マイ・カーのあやこすのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
4.5
村上春樹はそれほど読んでいないけど原作の短編集は読んでいて、あの内容がどう3時間になるのだろうと思ったけど、見事にまとまっていたなあ。原作の雰囲気や要素をそのままに、演劇の話がうまく溶け込んでいた。
それと台詞や描写で説明しつつ、観客に解釈を委ねる部分の量が個人的にはちょうどよかった。

言語や身体、車というコミュニケーション手段からこの話を見ることになったわけだけど、これがすごく刺さった。。家福と音と高槻の対比がハッキリ浮き彫りになり、それぞれの表情や動きを見ても実感することになるという。家福は演技をするにあたり役に身を委ねるみたいなことを言っていたけど、本物の役者さんもそうして表現しているのだなあと。
コミュニケーション手段が様々にあり、1つの事象に対して感じること思うことも様々ななかで、1つの道を進まなければならないという苦しさを、家福を通して痛いほど感じ、音や高槻、渡利を通して想像するなどした。家福が導いたひとつの解が舞台で現れた時、これが家福のいう「何かが起こった」なのかなと思ったりした。

なによりも車内のシーンでの高槻が印象に残りすぎていて…自分が家福のように言われている気分だったし、顔つきが違いすぎて…!撮り方も独特で、3時間の中でNo.1印象的なシーンだった。岡田将生、この映画を通してもっと評価されてほしい。
それと韓国手話の女優さんの表現がとても心に刺さったし、舞台の最後はボロボロ泣けた。改めて表現というものを考えさせられた…。

正直この映画に3年前ぐらいに出会えたらなあと思うくらいには、私の考え方に影響を及ぼしていそうだなあ。映画館で観られてよかった。なかなか予定が合わずに観に行けていなかったところをオスカーノミネートからか上映回数が増えてやっと観に行けたので、評価されたことにも感謝…!
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