ななこっこ

ドライブ・マイ・カーのななこっこのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
4.2
とても良かった。激的な展開がある訳ではないのに不思議と引き込まれる映画の作り。次に何が起こるのか、ある意味予測の出来ない展開でとにかく頭を動かさずに固まったまま3時間ずっと観続けられる。
登場人物の感情の機微を急ではなくて丁寧に描いていて、少しずつ接し方が変わっていたのが印象的。
納得のいくゴールデングローブ賞だった。

本当に他人を見たいなら自分自身を深く真っ直ぐに見つめるしかない事、人には様々な側面があるけれども自分の知らない側面が出てきた時に戸惑うのではなく、よく理解していれば出るべくして出た側面と捉えるべき事。その2つのメッセージが刺さった。「僕は正しく傷つくべきだった」というセリフも心に残った。

何度も繰り返し登場するチェーホフの戯曲も家福の少しずつ変化する感情と上手くリンクしていてあまりにも響きすぎる。
日本語、英語、韓国語、手話など舞台上でいろんな言語が飛び交っているのは初めて見たけど今後そういうスタイルに変わっていくのかな。映画で演技を定義してるのも新しかった。

演出家の家福と、運転手のみさきの2人はそれぞれ過去に家族との別れを経験している事や車にこだわりがあるなどいくつかの共通点がある。亡くした家族が2人の生きる道を作ってきた意味があるのだろうけど詳細まで理解することが出来なかったから考察を読んで考えたいなと思った。
観終わった後もそれぞれの解釈の余地があって楽しめる作品って素敵。
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