大室ちあ

ドライブ・マイ・カーの大室ちあのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
4.5

2022-168

淡々とした文学的な喋りが多くある映画。
主人公が演劇をしてるのでそのセリフ確認や、実際の劇シーンがあるのでさらに難しく見える。
映画が始まった時には、ついていけるかどうか不安になりながら見ていた。
最初気持ち悪いくらいセックスするので、文学的セリフとその行為の組み合わせが謎で気持ち悪かった。
家族を亡くした主人公がさまざまな人と出会い立ち直っていく。

そんな最初の不安はすぐに無くなっていって入り込めた。

序盤で出てきた気持ち悪い男の気持ち悪い女性関係の築き方の理由とか、ドライバーとなる女性の過去とか、演劇の女優の過去とか。
悲しいことがあってもみんなそれを胸に生きている。
それを打ち明けるたびに軽くなるわけじゃないけど、前を向ける気がする。
単調に思えたドライブシーンもドライバーとの会話の進展がどうなっていくのか、だんだん楽しみになってくる。
彼女が自分の心の拠り所になったりする。
どの座席に座るかで関係の距離がわかるのも良かった。

それぞれの登場人物の心の奥にある複雑な感情を、全ては理解できないけど感じて考えてしまうそんな映画でした。

3時間長いなぁと思ってたけど、騙されたと思って見たらあっという間の時間が経ちました。
岡田くん演じる高槻の車内での言葉が重く深く、グッとくるものがあった。
タバコを上に向けるシーンはどういう今だったのか。

自分自身、幼い頃に父を亡くしていますが、
なんせ反抗期に亡くしたので、父に対しての態度に後悔があります。その苦い後悔を、謝りたい気持ちを思い出してしまいました。
大丈夫、大丈夫だと2人と一緒に励まされた気分。
ラスト演技の感じが変わったのが、カフクさんの気持ちの変化を自然に表していた。
ドライバーの顔にも変化が!

なんかすごいものを見た気分。
歳を取ってからもう一度見て見たい作品。
大室ちあ

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