●考察
車はカフクの心臓だから赤だと思うし、なんかサーブってハーツ(心臓ぽい響き)だし。関係ないか笑
ハンドルを握られる事を嫌がる狭い心。
夢の中のヤマガが部屋に入り込む行為は、
まるでカフクの車に乗り込んだドライバーみさきのようだ。
オトが出来なかった心の吐露を車の中でドライバーがする事は、夢の中の部屋でヤマガがしたかった自慰に被る。
階段を登る人が誰かわからなかったカフクとの行為後の夢と、死体を置いていき、でも平静を装い監視カメラを付けているという間男との行為後の夢はカフクとオトの関係性に似てる。
ドライバーみさきが一番好きな場所に原爆ドームという悲しい場所から海まで吹き抜けを作った風通りの良いゴミ焼却場を選んだのは、狭い部屋(車、夢の中の部屋、カフクの心)に風を通す暗喩だと感じた。
ドライバーはカフクの心の風通しを良くした、カフクと同じだった立場から既に1段階成長している、使者のような役割だと感じた。
死にゆく者の二面性(オトとみさきの母)に悩むけど、実は両面を含んでこそ、その人でありえると考える。
タバコは車で吸っちゃいけない。だけど切り離せないし、お供え物としても描かれるから欲望の象徴でもあるし、人に影響を与える二面性を具象化してるのだと思った。
天窓から2人で煙を逃すシーンは、その害を無下に切り離さず、痛みを受け入れながらうまく対処する事を学んだと考える。
(とにかく運転とウイスキーとタバコがしたくなる映画だ)
最後、カフク自身が与えられる存在から、人に心をあげる存在(ドライバーみさきにサーブをプレゼント)まで成長したのだと思った。
もしカフクという名前がカフカからのインスパイアで、海を見渡せるという意味でドライバーの名前をミサキにしているのだとしたらと思うと、その伏線の貼り方は高度すぎるだろ!とゾッとする。
●感想
村上春樹の文体って分かりやすく、韻踏んでて簡潔だから、たとえ長台詞のシーンでも飽きずに引き込まれる。
無機質だけど日本人に合ってる気がするんだよな。この映画の静ってだから凄い居心地が良い。
小説だと体験出来なかったジャズ要素もやっぱりマッチするんだよな。
入り組んだ話ぬ加えて衣装もロケーションも俳優も建築もモードだから神経質な作品にぴったり。
めちゃくちゃ素敵な映画だった。
つかなんでこのクオリティ作れたんだろうか。