しち

ドライブ・マイ・カーのしちのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
3.6
うーん。
はじまりがちょっと苦手な雰囲気だった。
そして前半で、「なに考えてるかわからないメンタルの弱い女の人に魂ごと振り回される男性(しかもその女性は死ぬことで主人公を生の世界に置き去りにする)」という構図が村上春樹っぽいな、って一瞬村上春樹パターンに当てはめそうになったものの、1番のメッセージはまた違ったし、最後はちゃんと刺さってしまった。

長ーい映画だけど、その長さが、辛さと向き合ってきた家福さんと同じ体感地で観れるし、
だからこそ最後家福さんが音を乗り越えられたときの喜びというか、やっと道が開けたと感じれた北海道や舞台のシーンはめちゃくちゃ嬉しくなってしまった。

大切な人の死を乗り越えるってすごい時間かかるよね。
家福さんは特にそのタイミングで逝ってしまいますか?!って感じだけど、誰でも死を乗り越えるってこんな感じなのかも。
人との出会いだったり、人からの何気ないひと言で目の前の視界が開けたりってあるよね。

最後の舞台の手話のシーンはちょっと泣きそうになった。

運転手の、意見をいったりなだめたりするわけじゃないんだけど、絶妙なタイミングで過去を打ち明けるところ、
ある意味すごい共感とコミュ力だなと思った。

岡田将生は、すごい憑依してた。
当たり前だけど私だったらあんな憑依の演技は絶対できないって思う。
車の中で涙ぐみながら自分の本音を話すソーン、あれは元々気が狂ってる人じゃないとできないんじゃないかなとまで思った。
(そもそもこの人自身が最終的に犯罪者だし気が狂ってるわけだけど)

書きながら気づいたのは、岡田将生は役と向き合って、なんなら憑依するところまで演じきったたからこそ出てきた涙なんだと思った。(気づくの遅いw)

これこそ究極の共感力だ。
正直あんまり好きじゃなかったけど、今回の映画で真面目で演技にストイックな人なんだな、って思った。
しち

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