一年前、突然訪れた母・芙美子の死。 タケシが思い出すのは、芙美子と一緒に過ごす最期の時となってしまった東京観光での出来事だ。 帰りの電車の時間が迫っていたせいでのぼることは叶わなかったスカイツリーの展望台。 悔しそうにスカイツリーを見上げている芙美子の姿をスマホで収めた映像が、遺影のようになってしまった。 恋人との将来、諦めた夢、家族との確執。 母親の死を受け入れることも向き合うこともできないまま、 淡々と日々の出来事に流され埋没していくタケシ。 そうして迎えた芙美子の一周忌の日。 法要が終わる頃、会場は騒然となる。 亡くなったはずの芙美子が現れたのだ。