佐藤克巳

暁の追跡の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

暁の追跡(1950年製作の映画)
4.5
田中友幸製作、新藤兼人脚本、市川崑監督の珍しい組合せの、新橋駅前交番、新橋警察署及びその警邏隊の犯罪捜査をドキュメンタリータッチ、オールロケーションの野心作。交番には、主人公巡査の池部良、水島道太郎、田崎潤、伊藤雄之助の豪華配役で、それぞれ律儀者、堅物、温厚、いい加減の個性が描き分けられ、池部の恋人杉葉子の気っ風の良さが生きていた。警察署には捜査本部が置かれ敏腕捜査主任菅井一郎が鎮座。遂に警邏隊出動となり、極悪非道のボス富田仲次郎と良家出身片腕の江見渉を中心とした犯罪集団との熾烈なアクションは見応えたっぷりだった。また、復員兵の就職難、生活苦からの警察官になる者、犯罪者に転落する者は紙一重だった実情が垣間見える。
佐藤克巳

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