ぺん

迷子になった拳のぺんのレビュー・感想・評価

迷子になった拳(2020年製作の映画)
4.2
ミャンマーラウェイとはミャンマーの立ち技格闘技で、禁じ手が殆どなく、世界でも随一の危険さを伴う。
格闘漫画やK-1で名前は知っていた程度の知識しかない。
今作はそんな未知の格闘技ラウェイで闘う選手たちを主にしたドキュメンタリー。

日本人でラウェイに挑む選手には、他の競技や格闘技から脱落した人、ステップアップのために使う人もいるよう。
日本ではそれくらいマイナーと言えるがミャンマーでは神事に等しい国技。
禁じ手がない故に激しい試合展開、流血シーンも多いけれど試合前後には必ず神に捧げる舞を踊る。
相手を罵る舌戦は禁止され、チャンピオンがおらず、勝利者賞としてのベルトは貰えるが防衛戦はない。もっと乱暴なものかと思った自分を猛省するほどの不思議で尊さを感じる格闘技だった。
現地のラウェイ会会長の「闘うときは獅子たれ、それ以外は謙虚であれ」との言葉が物語る。

家族や周囲を含めた選手個人や今作の監督、観客も。迷いから抜け出せてはいないけど強くなるってどういうことか考えさせられた。
音質が悪い部分や消化不良なところもあるけど今観られて良かったな。
ミャンマー本国では今年のクーデター以降、公式試合が禁止されているそうです。
映画に登場した現地の人々もどうしているか…どうにかまた試合が行えるようになれば。
ぺん

ぺん