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キャラクターのhatoのレビュー・感想・評価

キャラクター(2021年製作の映画)
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面白かった!

キャストの豪華さから客寄せ重視のよくある邦画サスペンスと思いきや、映画の全ての要素が凝ってて惹き込まれた!

個人的に1番惹かれたのがセットで、特に引越し後の山城と両角の部屋が圧巻だった。山城の部屋に関してはもちろんマンションの高級さも惹き込まれた要素の1つなんだけど、引越し前の寒色系から暖色系になっているところとか、デスク周りが電子化しているところとか、特に部屋中に制作に関する資料が綺麗にビッシリとならべられているところとか、もう色々すごすぎた。両角の部屋に関してFukaseさんの圧巻の壁画が1人で浮かないいかにもサイコな作りが恐ろしいんだけどアーティスティック。美術レベルが高すぎてそれだけで楽しかった。

『キャラクター』というタイトル、それに関連するキャラクター設定やストーリー設定、作中たくさん散りばめられた伏線。美術に劣らず内容もかなり凝っていて飽きるはずがない。

ただ1つ気になるところがあって、作中では10人以上の人が両角に殺されているのに殺人のシーンが一切ないところ。死体の描写はかなりリアルに描いているのに怖さとかグロさを感じなかったのはこのせいだと思う。殺人を描く作品なら、「殺される」という人間の恐怖があって、そして息が止まるまでの一連の流れを描いてほしかった。それをごく一部でしかやっていないのがもったいない。







⚠️以下ネタバレ⚠️
終盤の山城が両角を刺し殺そうとするシーン。山城が豹変した瞬間が鳥肌がたった。"キャラクター"をもった漫画が描けなかった山城に、山城が描きたかったキャラクターが乗り移った瞬間でとても好きなシーン。キャラクターというものは表に出てきていないで、誰にもその奥底にいるものなのではないかとも考えられる。それが両角との出会いで山城の表面に出てきてしまったのかなと。

ラストの裁判のシーンもかなり衝撃的。名前も戸籍もなかった両角。強いキャラクターだと思っていた人間がなんのキャラクターも持っていなかった。「僕は誰ですか?」という言葉に胸が締め付けられた。

最後にエンドクレジットの考察を。監督の名前が出た後に2回刃物で刺すような音がする。エンドクレジット前に双子を連れた山城の奥さんを外から誰かが見ているようなシーンがあったけど、あれは辺見?だから辺見が刺した音なのかなと思ったけど、もし双子と山城の奥さんを刺していたのなら音は3回のはず。刺したのは誰?刺されたのは誰?
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