ももも

ハウス・オブ・グッチのももものレビュー・感想・評価

ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)
4.1
フランス革命に関する話だと思った。グッチ一族が代々統治するグッチ王国。そこへ現れた闖入者レディ・ガガ。彼女の無際限な欲望が、自由主義的な貴族(アダム・ドライバー)やしたたかなプロレタリアート(ジャック・ヒューストン)の助力を得てグッチ王国を崩壊させ、彼女自身を含むすべてのアクターを破滅させることで、結果的に民主化された社会がもたらされる。

フランス革命がブルジョワの権限拡大のための闘争であったように、民主主義は資本主義およびその暴力と切っても切り離せない関係にある。まず経済的覇権をめぐる争いがあり、その後に理念をめぐる争いが続くのであって、その逆ではない。
フランス革命は偉大だが、それと同時にあまりにも陳腐で、かつ血生臭い。実際のところ、偉大な出来事の多くは、くだらない暴力によって生み出されるのだ(この主題は、同監督の「最後の決闘裁判」にも通じるものだと思う)。

こうした主題を今作のように軽快なコメディタッチで描くこともできれば、「最後の決闘裁判」のように終始陰鬱なタッチで描くこともできるというリドリー・スコットの力量に感心した。ファッションの話をもう少ししてほしかったとか、従業員をもっとたくさん登場させてもよかったのではないかとかとも思うんだけど、全体としては満足しました。
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