砂

TUBE チューブ 死の脱出の砂のレビュー・感想・評価

TUBE チューブ 死の脱出(2020年製作の映画)
3.0

閉所恐怖症の自分は序盤から胸がキュッとつまって、終始息を飲んでいた。スタート地点に戻された時はTUBEに投じられた女と共に絶望を分かちあっていたとはずだと断言出来る。

TUBEの中で死体をかき分けて進み、他の生存者(?)と道を争いながら、最後には1人しか生き残ることができない。受精がテーマなのかなって感じた。

途中の肉壁エリアも胎盤の中を連想させるものだし、大の大人がいきなり胎盤の中にいるのはおかしいからエイリアンの胎内ってことにしよう!っていう設定装置として、”精子” ”妊娠”などのイメージを連想させるための監督なりの親切(?)な演出なんだと考えている。

娘の死から前に進めずに過去の時にとらわれ続ける女が映画冒頭で言う「生きていれば9歳になるはずだった」の台詞と終盤娘の幻を前にタイマーを確認する女に「時間のことは気にしなくていいから」という台詞が対になっているようでよかった。

薄暗く無彩色の画が続く中、ラストで鮮やかな緑と滝が挿し込まれるコントラストのあるカットはとても新鮮で目が癒された。宗教上描かれる天国や死後の世界のイメージはこういう感じなのねとなった。女も「わたし死んだの?」って言ってたし。

話の着地点としては宗教・思想色 メッセージ性が強すぎて「TUBE 死の脱出」という簡素なタイトルにしては明快に理解できない謎が多く、イメージの風呂敷を広げすぎな気がした。
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