ひろあき

戦場のメリークリスマス 4K 修復版のひろあきのレビュー・感想・評価

3.3
特に序盤に顕著だが結構何を言ってんのか聞き取れないシーンがちらほら。タイトルから連想して、戦争という非人道的で極限的な状況下でもなお存在する人間の善性を希望として描いた作品を予想していたが、ヨノイがセリアズと対面したシーンでこれが戦争映画ではないと思った。
セリアズはすごく小さな世界を生きるタイプの人間で、そこでの経験から生み出された彼の生き方や倫理観はその適用範囲について外部からの影響を受けない。自分の在り方が他から影響を受けないからこそ、彼の世界は小さいとも言えるのだが。簡単に言えば、彼は戦争が嫌いなのでも、日本軍が嫌いなのでもなく、単に集団が嫌いなのである。愛おしい弟との関係に割り込んでくる他者が憎いのだ。そんなわけで、世界を拒絶し一対一を生きる男とヨノイとの対面は戦争が霧散する瞬間なのである。
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