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アクアマン/失われた王国のRのネタバレレビュー・内容・結末

アクアマン/失われた王国(2023年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

映画館で友人1人と。

2024年のアメリカンの作品。

監督は「ワイルド・スピード SKY MISSION」のジェームズ・ワン。

あらすじ

南極の氷河奥深くに封印されし「失われた王国」世界を滅亡させる古代兵器「ブラック・トライデント」と共に眠る、その封印は解かれ、邪悪な力が解き放たれてしまう!海の生物を操る力を持ち、海底アトランティスの王であるアクアマン(ジェイソン・モモア「ワイルド・スピード/ファイア・ブースト」)は5億の海の仲間と共にかつてない脅威から海と地上の世界を守ることができるのか!?

2018年公開の一作目は思い返すと、「DCU」で初めて劇場で観た作品であり、個人的にめちゃくちゃ面白かった作品だったこともあり、思い入れもひとしお。

という一作目か、約6年ぶりにアクアマンが帰ってきた!!というわけで、そりゃ劇場に行かなきゃならぬ!!というわけで一作目を観たほやほやの友人と一緒に観てきました!!

ただ、今作感想に入る前にユニバースとしての立ち位置はかなり微妙なラインでして…。DCUとしては前作にあたる「ザ ・フラッシュ」と前々作にあたる「シャザム!」続編くらいから丁度、ジェームズ・ガン体制による新たなDCユニバースが開始が決定され、その時にはまだ上記の作品ラインナップが完全に残っている状態だったので、「え?じゃあこれら3作はどうすんの?」ってわけなんだけど、そこら辺も宙ぶらりんのまま、どっちつかずの状態のまま公開に至ってしまったわけで…。そういう意味でもアクアマンはおはなし以外の部分でも、どのような結末を辿るのか、つーかその答えは明示されるのか?そこら辺も気になりつつ観たんだけど…。

結論から言うと…いやぁ、なんつーか前作以上に「全部盛り」がすごいな笑。ただ、その結果、全体的に物足りない…という感じ。つーか、どうした!?ジェームズ・ワンよ!!

お話はあらすじの通り、前作からしばらく経った後らしく、なんとアクアマンことアーサーに子どもが産まれとるっ!!まぁ、ワイルドを前面に押し出してると言ってもジェイソン・モモアもオッサンだし、まぁそりゃ成り行き上、自然かと思いつつ、アトランティスの王様のお仕事をしながら、家に帰るとオムツを替えたり、床中おもちゃだらけの家に「ただいまー」と帰ってきたりと、すっかりパパさんなのはそれなりに感慨深い。しかも、その子どもアーサー・ジュニアにも父親と同じ海の生き物を操る能力に目覚めているらしく、もし、今後のDCU体制になってから続投ができるならば、成長した姿も観られるかも…??

で、そんなすっかり子育てパパ奮闘記!って感じのアクアマンと反対に、前作の戦いから闇落ち街道まっしぐらの今作のメインヴィランはブラック・マンタ(ヤヒヤ・アブドゥル=マティーン2世「アンジュランス」)。今作では前作でアーサーにつけられた傷も痛々しく、そのせいでただでさえコワモテの顔が更に凶悪じみてくるんだけど、なんと今作では「失われた王国=ネクラス」を発見したことでそこで封印されし古代兵器「ブラック・トライデント」を手にしたことで、邪眼発動!!更に凶悪な力を手にする!!サポートのシン博士(ランドール・パーク「スラムドックス」)とも結託し、遂にアトランティス征服を目論むと共に、ネクラスのエネルギー源だった「オリカルクム」のガスエネルギーの影響で地上までも急激な温暖化が進み、海だけでなく地上までも危機にさらされてしまう!!というのが本作の主なストーリーライン。

で、前作でもあった「全部盛り」要素が更にパワーアップされているわけなんだけど、例えば序盤、アトランティスに艦隊を率いて潜入したマンタ軍とアーサーの母アトランナ(ニコール・キッドマン「ノースマン 導かれし復讐者」)とアーサーの嫁メラ(アンバー・ハード「ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット」)による嫁姑タッグによる水中チェイス!!真っ赤なサメに乗っかった2人がマンタを追うんだけど、煌びやかな水中世界の中でセンスオブワンダーを見せつけつつ、前作ではなかったアトランティスの街中に突っ込んだり、その街中や水中トンネルでドンガラガッシャン大乱闘繰り広げる様はそれなりに楽しい!!

ただ、結局のところ、マンタに「オリカルクム」の燃料を奪われてしまい、加えてメラもマンタによって重傷を負ってしまったことで、そんなわけでただでさえパパ業との二足の草鞋で不在がちだったアーサーは王座剥奪の大ピンチにも陥ってしまう!!

そんなわけで起死回生として遂に招集されたのは前作のメインヴィランにして、アーサーの実の弟オーム(パトリック・ウィルソン「インシディアス 赤い扉」)!!

前作でアーサーにコテンパンにされつつも、結局情けをかけられたことで後々の活躍も予期されていたキャラで、満を持しての登場となったわけだけど、初めはフィッシャーマン領下の砂漠の牢獄に幽閉されてて髪も伸び切って髭もモジャモジャで体もろくに飯も水も与えられてないからガリガリに痩せこけてて、見る影もない…。

ただ、アーサーに助け出されて、海面に体を浸した瞬間、ザバー!!と兄貴同様のムキムキマッチョメンになってふっかーつ!!したシーンは思わず笑ってしまった。そこでバッタバッタと砂漠の骸骨兵を薙ぎ倒す様はめちゃくちゃ頼もしくて、「昨日の敵は今日の友」なめちゃくちゃ王道的な展開ではあるものの、まぁそりゃアガるわ!!

つか、今回のオーム、やっぱそういうキャラにありがちなチャーム度が増していて、何をするにも豪快で大雑把な兄貴とは違い、根は真面目なのでアーサーに対するツッコミ役もこなしつつ、「ハイタッチしようぜ!」「やだ」と即答して兄貴うんざりムーブをかましたり、アーサーの悪ふざけでゴキブリをパクツイちゃって(マジムシ嫌いは目を背けたくなるくらいグロい…笑)、「あれ、意外とイケるなぁ…」と表情が煌めいたりと、なんつーか「萌え」が過ぎるww

で、それが遺憾なく発揮されているのが、中盤の南太平洋の孤島にしてマンタの拠点「悪魔の深奥」シーン!!生態系が狂い、異常な発達を遂げた植物や昆虫が巣食う中で、大量の巨大バッタに追いかけ回されたり、古代王の巨像を橋にして渡って、その上をかけ走ったりと兄弟タッグでまさに大冒険を繰り広げるシークエンスはそれなりに愉快!!

また、その前の海中の無法者たちの根城「深淵の砦」では闇ブローカーのキング・フィッシュを相手に八面六臂の共闘シーンがあったりとナイスバディっぷりを最大限に発揮していた。

ただ、そんな感じで色々と見せ場が多いのにも関わらず、全体的にはなんだか薄いように感じてしまうのは、やっぱ本作全部盛りは全部盛りではあるんだけど、それは=「どっかで見たことある」描写まみれに感じてしまったという感想に尽きる。

上述の海中チェイスや「深海の砦」はスターウォーズの一連の海中が宇宙に置き換わっただけの宇宙船描写や「カンティーナ酒場」に見えてしまうし、ジャングルのシーンも巨大動植物に追っかけられるくだりはアドベンチャームービーの域を出ていない。

いや、別にどっかで見たことある描写がわるいわけではないんだけど、結局、要素として入れ込んでいるだけで前作であった「面白さ」や「新しさ」があんまりないんだよな。とくにジャングルはせっかくその前にマンタとシン博士の会話でどんな巨大生物が潜んでいるんだ…とワクワクさせといて、出てくるのはバッタとチョウと食虫植物と食われてるネズミの死体だけなんだもの…。もうちょい見せてよ!!

あと、前作ラストでもうアーサーが「アクアマン」として覚醒しちゃってることが影響しちゃってるからなのかもしれないけど、今回前作以上に海中での戦いが多い!!別に大半の人はそれを期待してて、まぁ今作の特性上それでいいんだけども、その結果、地の利=海の力を生かした戦闘スタイルがあんまり生きてない。

というのも、前作特に個人的にお気に入りだったのがマンタとのファーストマッチ、シチリア島でのシークエンスなんだけど、あれは地上でド派手なバトルを繰り広げつつ、メラがワインの液体をパワーに変えて戦う様が愉快だった、つまり地上で水のパワーを使う楽しさがあったわけなんだけど、今作ではマンタも海を主戦場に変えて戦うから絵面があんまり変わらないんだよね。加えて、海中シーンも光り輝いて「明度」の見づらさはないんだけど、画面がごちゃついてる分、何が起こってるかわからない感じが続いちゃっててなんか飽きる…。

だったら、それはそれとして原作ラストの全ての王国が出揃った上、伝説の魔物も参入しての大軍勢バトルを期待してクライマックスまで待ってると、ラスト、マンタの元に向かうアクアマンチームがえ?それだけってくらい少人数だったり、前作で出てきた甲殻類の王もキャラとして弱かったり、「エクスペンダブルズ4」に続いて今回も登場のドルフ・ラングレン(「ベストマン 最強の介添人」)もやっぱ今作でも不遇キャラだったりとなーんか頼もしさに欠けるんだよなぁ。

あと、敵のゾンビ軍団が押し寄せる様もここもどっかで見た絵面だし、敵のソニックムーブに対抗する策で肝である「海の生物大量発生!!」描写はあるんだけど、クジラとかイルカとか…え!謳い文句の「5億の仲間」ってここだけかよ!!

あと、海の仲間描写で言うとアーサーの愛馬ならぬ愛タツノオトシゴの「ストーム」だったり、今作のマスコット?キャラのタコの「トポ」もなんつーか出オチというかなんというか地味…。特にトポなんかはタコが相棒という新しさを笑どころに変える術なんてワンならいくらでも考えつきそうなもんなんだけど、結局偵察任務とSOSを届ける役割だけでそれなら別にキャラ付けしなくても良いのでは…??

あと、結局のところ、マンタをメインヴィランに据えてしまったのがそもそもどーなんだ?って話で、ただでさえ前作で負けてる中ボスだった彼がブラック・トライデントでパワーアップしても、なんかイマイチ強さが伝わらない上に、味方陣営にいながら、裏切りまくるシン博士をいや、そんなことしてたら殺されてもおかしくないって状況下で許しまくったり、その結果、最後まで簡単に騙されたりと、いや間抜けか!!

クライマックスのトライデント対決はそれなりにアガりはしたものの、結局アーサーに簡単にやられちゃった上にこっちがダメならこっちだ!と鞍替えされたオームに乗り移ったネクロムの王コーダックに「こっちの体のほうが強いわ!」と言われちゃったりと立つ瀬がないよ!!なに?この人はなんだったの??

個人的にはブラック・マンタのヘルメットはそのチグハグな不格好さな目からビームのギミック含めて結構好きなキャラだったんだけど…だからといってメインに据えるには役不足過ぎたのでは。オームに最終的に乗り移る展開があったんなら、マンタじゃなく最初っからオームをヴィランに据えた方が今作のテーマである「アーサーとオームの絆」描写も生きたのではないかとも思ってしまった。

つか、ぶっちゃけるならアーサーとオームの関係性も見た目含めて完全にMCUにおける「ソーとロキの関係性」の二番煎じだしなぁ。まぁ、作り手もそれを薄々感じてるのかアーサーのセリフで「ロキかよ」とか言ってたけど、そういう風に観てもやっぱあっちの2人の方がキャラ立ってるよ。

あと、アーサーとしては「海」と「陸」相容れぬ二つの世界が手を取り合う世界を夢見てた伏線があったけど、えぇ…最後かなり思い切った着地にしたなあ…笑。MCU「エターナルズ」における「セレスティアルズの手」ほどじゃないにしろ、ここまで和平結んじゃうと世界の影響は後々にも影響しそうな着地で、さてはワンよ、これがDCEU下のラストだからってヤケクソに広げたな笑!!

つか、ラストはDCというよりかはマイクスタンドで「俺がアクアマンだ!」とか言っちゃってるし完全に「アイアンマン」一作目じゃねーか笑笑!!

そんなわけでワン監督作品の巧妙な面白さが希薄な上に、「これでラストでどーせ次から新体制だし、好き勝手やったれ!!」となんかヤケクソ感が強くなっちゃった作品という印象になってしまった残念な続編で、加えてこれが2013年から約10年に渡るDCEUラストを飾るフィナーレ作品がこれ?これなんか…?と思うとちょっとどうなの?という作品になってしまったなぁという印象。

まぁ、新体制スタートが製作時どれくらいで決まっていたかわかんないけど、せめてジャスティス・リーグとしてそれなりに落とし所というか、なんらかの着地は入れといても良かったのでは??

まぁ、ユニバース要素は皆無なのでそれまでの作品は観てなくても、前作見とけば単体としては楽しめる作りにはなっていたけど、じゃあ単体として、アクアマンの続編としては?って部分でも…うーん。

もちろんルックは文句なしにすごいし、やっぱモモアが楽しそうに演じてるアクアマンはなんだかんだとっても良いキャラなので新体制になっても、なんかモモアをアクアマンではなく「ロボ」って新ヴィランで使うなんて噂もあるらしいけど、モモアはアクアマンとしてちゃんと出てきて欲しいなぁ。その時はちゃんとワン使ってくれよ、ガン監督!!

最後にシン博士がクライマックスでアーサーにトライデントを投げるシーンがなんか「アンパンマン、新しい顔よ!」のジャムおじさんそのまんまでめっちゃ笑った。
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