昼行灯

ハム・オン・ライの昼行灯のレビュー・感想・評価

ハム・オン・ライ(2019年製作の映画)
3.8
人生のロールモデルに回収されるかされないかという話ではなく、ロールモデルに疑問を抱くか抱かないかで留まってるところが現実的だと思った。疑問を抱くが行動できない、悶々とするのみという人間が大半だと思うが、それを描いた作品はあまり聞いたことがなかった。

ゆっきゅんが指摘した通り、郊外の少女が抱く閉塞感は車や風船、水槽で表象されていた。彼の指摘に加えて、いくらかあるうちの1つだけ天井まで届いた風船は、彼女が疑問を抱いてるから集団から疎外感を抱いているという心理を示唆してるのかなーと思った。

閉塞感の演出のなかでもとりわけラストの公園で遊ぶ子供たちを少女が眺めるシーンは、それまで家の中でのシーンが多かったので開放感がありながらも、彼女のぽつりと佇む孤独感が対照的だった。公園で遊ぶ多くの人達が疑問を抱かないなかで少女だけが疑問視してるという構図が明らかだと思った。開かれた場所にいても結局それは郊外という場の中にすぎないんだなと思い知らされた。
昼行灯

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