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サイトレスのJIZEのレビュー・感想・評価

サイトレス(2020年製作の映画)
3.0
視力を失った女性バイオリニストのその後の生活と事件に巻き込まれ忍び寄る狂気に震える様が描かれる。2月最後。緊急投稿。主に約90分ものスリラー。まず最初に思い浮かんだのが"聾唖者の苦悩"を描いた類似的な『サイレンス(2016年)』だが、本作でも失明した女性の"ハンデもの"として、最初から最後まで不安定な主人公の心境が、観ている側へ何重にも重くのしかかる。また外部や他者から情報を与えられるコトによって認知が遅れたり歪む病理や、視覚障害でなくても苛まれる恐怖感は、我々同等の心理描写としてデフォルメされていたように思える。いわゆるミスリード的な観客を騙す手立てが伏線的に張られており、フォーマルに観てて、サスペンスを愉しめる。総じて日常の歪さや誘導される主人公の疑心暗鬼ぶりは、主人公が"認知"を働かせる軸部分の疑の設定の面白味としてある。
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