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闇はささやくのJIZEのレビュー・感想・評価

闇はささやく(2021年製作の映画)
2.7
ハドソン・バレーの小さな村を舞台にマンハッタンから何も知らずに移住してきた夫婦が引越先の呪われた家でさまざまな怪現象に遭遇する運命が描かれる。夫婦の物語。エリザベス・ブランデイジの小説が原作で、着想は実際にNY北部で起きた"斧殺人事件"がモチーフ。邪悪や悪魔など"ゴシックホラー"のようなゴテゴテした質感で、全編120分間重苦しい空気に包まれている。また主演のアマンダ・セイフライドの夫につかえる妻役の好演は、閉鎖的な片田舎の日常につよい"輝"を差し込ませていたように思う。全体的に邪悪で暗く潜む超常現象ものの大枠がありながら、そこに夫婦間の溝や愛情が揺れ動く様子を劇映画として捉えている。後半の夫の人物変化の描写を、もう少しデフォルメしてほしかった。人物や要素が程好く絡み合ってはいる。が、プロットがやや停滞する長尺問題やオチ自体の既視感など、シナリオ上のカタルシスは薄い。家に隠された因果及びその不穏性を間接的に味わえる、劇的な夫婦間を主題とする作品となっている。
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