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ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカットのnobuoのレビュー・感想・評価

3.7
諸々の事情の末に誕生したもう一つのジャスティスリーグ。

まず始めに、本作とジョスウェドン版(劇場公開版)との単純比較は出来ない。そもそも尺が大幅に違うのだから当初問題視された“キャラクターの描き込みの量”が違うのは当然だし、本作は劇場公開版の問題点・批判点が明確化された後で製作されているから。もし比較するなら、無茶振りとも言える2時間の尺・不自然なゴア描写のカット等を撤廃し再編集した「ジョスウェドンカット」とでなければフェアじゃない。ハラスメント問題等により製作される事は無いだろうが、俺はこちらのverも観てみたい。ジョスウェドンの本気はあんなものじゃない筈だ。

大きな違いは人物描写(特にサイボーグ)の変更と増加・ヴィランの立ち位置の変化・フラッシュ以外のコメディ色の撤廃・突っ込み所の改変※1・そして具体的な続編構想の存在...こんな具合だろうか。
概ね劇場公開版で批判された点の解消と補完に注力していたようで、当然これらの改変点によって作品の質はある程度上がったはず。

しかしザックの持ち味でありBvSでも存分に発揮された“ケレン味ある見易いアクションシーン”がさほど無かったり、長尺に味を占めたのか無駄に冗長で勿体ぶったシーンが多いのは残念。またBvSでは丹念に描けていた筈の“守るべき世界と人々”描写の欠如等、強く浮き彫りになった問題点も多い。終盤のご都合主義的なフラッシュの活躍も納得し辛かった。あれはドナー版スーパーマンのオマージュと捉えればいいのか...?
という訳で、「ジャスティスリーグは劇場公開版より本作を見るべき!」と一概に言う事は出来ない。トラブルがあったとしても、劇場公開版は劇場公開版で存在価値のあるものだ。存在を抹消されるような事はあってはならないと感じる。

気になるのはDCユニバースにおける本作の立ち位置。ザック自身は「劇場版こそが正史」と認めており本作の続編構想も無いらしいが、それならあの匂わせ全開クリフハンガー全開なラストをどう受け止めればいいのだろう。DC側が視聴者の評判を伺って、場合によっては本作が正史扱いになり劇場公開版が抹消されるのだろうか。
とにかくDCユニバースはこれ以上製作現場で揉めることなく、監督※2や主演が降板することもないスムーズな映画作りを目指してほしい。ベンアフ監督兼主演版バットマン、レゴムービーコンビのフラッシュ...。発表に胸を躍らされるも結局ポシャった企画が一体幾つあることか。
とりあえず今はザ・バットマンに胸を躍らせてます。マットリーヴスなら上手くやってくれる...!


※1“三つ目の箱”の管理ザルすぎ問題等。
※2 勿論今回のザックの降板に関しては止むを得ない事だろう。ロイスの“愛する人を失った苦しみ”描写や、本作のスタッフロールを見れば一目瞭然。
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