エマ

ひらいてのエマのレビュー・感想・評価

ひらいて(2021年製作の映画)
4.0
高校生の複雑な恋愛模様を描いたみたいな映画だろうと軽い気持ちで見に行ってしまった…。
原作綿矢りさなんかーーーい!! 「勝手にふるえてろ」「私をくいとめて」の原作の方じゃないですか!

この作品も刺さる人には刺さるけど、刺さらない人からしたら「変な女子高生の奇行を見続ける映画」みたいな感じでつまらないって思っちゃう人もいそうだなと思った。
ただとにかく先が読めない作品で観てて飽きなかった。
PG12とか正気か?制限かけちゃうんだふーんって思ってたけど、これ高校ものの作品でもなかったわ。

この人の作品観終わったあとに脳が動き出して疲れるからラーメンでも食べてから行けばよかった…。

ーーーー以下ネタバレあり

主人公の愛みたいな人って割といるんだよなぁ、なんか人間を完全に素直にしたら出来上がるような人格だと思った。良くも悪くもね。
自分勝手だと言われてる愛だけど、割とそんなことないと思うんだよなぁ。
例えば最初のシーンでぶどうジュースを口移しするシーンとか、その後ぶどうジュース捨ててるし、後々ファンタ(? これもぶどう味っぽい)も捨ててるし、どちらかと言うと自分以外の人間に対してしか欲を感じない人のようにも感じる。
ただ、「たとえ」に対しては欲丸出し、悪徳丸出しでレズ詐称するわ教室不法侵入するわでかなりえぐいなコイツ、人間丸出しって感じ。

「ひらいて」っていうタイトルから「何を開いて欲しいんだろう、誰が誰に対して言ってるんだろう」と思うわけだけど、最初に「たとえ」の閉ざされた両手からタイトルに行くから掌を開くっていう行為にリーディングする感じも良かった。

最後の「また一緒に寝ようね」はまじで難解。みんなどういうふうに捉えたのか気になる気になる。
本当に好きになってしまったのか(友達として?それとも恋?)、2人で寝ていた時だけが心を「ひらいて」いた瞬間だったのか、正直わからん、これ原作読んだら分かる??
愛が2人に言われる「嘘」とか「怖い」って割とみんなが普段の生活で感じてる事だよね。「何が嘘か分からない」けど何か嘘をつかれているような感覚。隠されている感覚。そしてもちろん自分も隠したり嘘をついていて、それは大人になればなるほど汚くて見せられない部分が増えてくるからなのか。
「たとえ」の親と、愛の親の対比は面白かった。「たとえ」の親が、愛と愛のお母さんを見た時に「美人親子だ」と顔のことを言うけど、愛のお母さんは「爪が似てる」と言っている。多分人の体の中で「爪」って1番注目しない。
愛のお母さんは爪が似てるって分かるほど愛のことをしっかり見ているってことを示唆しているのかなと。

あと愛の「逃がさない」とたとえの父の「逃がさないからな」が呼応する感じ。
同族嫌悪自己嫌悪から殴るあの感じは綿矢節って感じがする。

結局この先この3人はそれぞれ大丈夫け?ってなっちゃうけど、とりあえず卒業おめでとう🎉
エマ

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