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偶然と想像のUDのレビュー・感想・評価

偶然と想像(2021年製作の映画)
4.4
会話という行為の創造性と人間という生き物がかかえる無垢な矛盾の可笑しさ。

構図の分かりやすいシチュエーションから始まり、2人の会話の小気味のいいリズムに身を任せているうちに、絶妙なボタンの掛け違いが増幅して想定外の方向に展開して、クスッと笑ってしまったり、しんみり沁みてしまったり。

言葉の持つ力と、言葉は受け手によって始めて意味を持つことと、人間の分かり合えなさと、人に合わせてしまう性分と。。。
小説を読んでる時に近い感覚もあるけど、演者の口調や小さな振る舞いがとても影響を与えているように感じた。

存在とか生きることに意味を求められることが多いけれど、存在することそのものが誰かの存在を肯定するという台詞はとても響いた。
そして「分からない」ことは即拒絶する必要はなくて、分からないなりに「分からない」に向き合ってみるのも一つの道なんだと思う。

多くの気付きと感動の2時間。
素敵な映像体験でした。
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