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ボーはおそれているのokunokazukiのレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
3.6
でっかいちんちん

でっかいちんちんのことしか覚えてないというのは言い過ぎだが、衝撃的だったのは事実だ。

アリ•アスターの作品の中ではもっとも面白いと言ってて良い。ヘレディタリーは、ラストがそれまでに築き上げた雰囲気ををぶち壊してしまうし、ミッドサマーに至っては生理的に不快な描写がある上にたいして怖くないという重大な問題がある。

本作品は、いわゆる不条理文学のように主人公に理不尽が降りかかるのだが、それが彼の精神疾患由来なのか、はたまた現実の人間の悪意由来なのか、ぼかすように描かれている部分が魅力的である。最初の描写で、彼はおそらく幼少期に頭を打っているのだが、もしそれ由来で疾病を抱えているというのであれば、彼はグレゴール•ザムザのように哀れである。主人公は、昔は美少年で今や禿げ上がった中年なのだが、ホアキン•フェニックスが演じているからか強い説得力がある。採算をとるならこの名優を使うべきではないが、使ったことにより明らかに良い映画に仕上がっている。

この映画の問題点は、というかこの監督の問題点でもあるのだが、精神疾患を持つ人を馬鹿にするような部分があるところだろう。
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