米崎町りんご農家の記録のaのレビュー・感想・評価

庭先の花からそのまま引いたショットや高地からの眺め、その奥には無垢な顔をした海が映っていて、そのまた奥には山が見える。カメラが取り込む音には復興を物語る音が流れ込む。独善的に先入観で震災の映画だと感じてしまうが、りんご畑では接木を、上下左右に動き回る機械を、直感で摘んでいく余計な芽を、昔と変わらぬ動きでこなす。同じ方向を向いた椅子、石川遼のポスター、内容を忘れたカレンダーのメモ。過去と現在を断絶する震災が、繋ぐものは。手芸の本をピシャリと閉じる仕草に急にゾクっとした。