このレビューはネタバレを含みます
2022/11/06鑑賞。53点。
・メタリカの牛
〈あらすじ・ネタバレあり〉
1845年、マサチューセッツ州バンフィールド。
人々が抱える病や怪我を癒す特別な力を持つ女性マリア・エルノアが、「自分の力はサタンが与えたものだ」と告白する。
磔にされたマリアは、リンチされた後顔に聖母マリアの仮面を打ち付けられ、生きたまま燃やされる。
死ぬ寸前、彼女は「私は永遠の命を得た」と言い遺す。
現在のバンフィールド。
記者・フェン(演. ジェフリー・ディーン・モーガン)は10年前に記事に嘘を書いたことから業界で干されていた。取材のためバンフィールドに来たフェンは、特に理由はないが鎖の巻き付けられた奇妙なカーン人形を踏み潰す。
その後、地元のティーンエイジャーであるアリスを車で轢きそうになりハンドル操作を誤ったフェンは、町で足止めを食らうことに。
フェンはアリスと少し話した後、彼女を家にまで送り届けるが、他の住民が言うにはアリスは先天的に耳が不自由で話せないらしい。
アリスの叔父で地元の神父・ヘーガン(演. ウィリアム・サドラー)と教徒たちは、突然耳が聞こえて話すようになったアリスに驚くが、「聖母マリアに救われた」という彼女の言葉で、皆奇跡を信じるようになる。
さらには、足の不自由な9歳の少年・トビーが歩けるようになったり、肺気腫を患うヘーガン神父を治癒したりするようになる。
その頃バチカンでは、この一件が本当にアリスの起こした奇跡なのかを調査するため、デルガード司祭を任命する。
デルガードは、「アリスが最も心を開くのはフェンではないか？また、フェンのリサーチ能力を使えば真実を導き出せるのではないか？」と考えて、彼にアリスへのインタビューを任せる。
奇跡に対して否定派のデルガードはアリスの力を疑っていたが、彼女の起こす奇跡を目撃し、医師の裏付けも取れたことから本物の奇跡として認めることに。
教皇から正式に聖地として認定されたバンフィールドは世界中の注目を集め、フェン自身も記者として復活を遂げる。
そんな中、地元で暮らすナタリーと仲良くなったフェンは、彼女からこの町の歴史を教えてもらったことから「アリスは本当にマリアから力を授かったのか？この力は悪魔のものではないのか？」と疑念を持つようになる。
フェンと同じ疑問を持っていたヘーガン神父が首吊り自殺をしたことにより、フェンの疑念は確信に変わる。
教会の資料保管庫に向かったフェンとナタリーは、マリア・エルノアの死に関する記録を見つける。
ー聖母マリアの名を騙ったマリア・エルノアは、多くの奇跡を起こして人々を癒していた。多くの人々がマリアを信じたが、その力を疑った者は皆死んでいった。やがてマリアを信じた人々も彼女を恐れるようになり、拷問した後、彼女の顔に聖母マリアの仮面を打ちつけて生きたまま燃やして殺した。彼女の死により、治癒を受けた人々は再び元の体に戻ってしまった。
マリアは死ぬ直前に、自分の力がサタンにより授けられた者であると告白し、そして「永遠の命を得た」と言い遺したー
さらに調べてみると、
・マリアの目的は、自分を信じる人々の魂と信仰心を生贄にして、より強大な力を得ようとしていたこと
・アリスの祖先はマリアであること
が判明する。
マリアの言う「永遠の命を得た」という言葉の意味は、厳密には「子孫を通して永遠の命を得た」ということ。つまり、アリス自身は気付いていないが、彼女に語りかけるマリアの正体は聖母ではなくサタンの使いであるマリア・エルノア。
真実を知ったフェンとナタリーは、そのことをボストン大司教区に報告するが全く取り合ってくれない。唯一デルガードだけはフェンの話を信じて、アリスを止めるのに協力してくれることになる。
マリアの囁きを受けたアリスが、【三位一体の儀式を行うため集会を行うことを教会に提案している】と知ったデルガードは、この儀式を悪用して教徒の魂を奪うつもりだと気づく。だが、マリアは脅威となるデルガードを排除するため、彼を生きたまま燃やす。
デルガードを失ったフェンとナタリー。
フェンは集会会場に乗り込むと、「バンフィールドで起きた奇跡は全て自分がでっち上げた」と大声で叫び、教徒たちの信仰心を奪う。
ナタリーは、手話でアリスに真実を伝える。アリスの中でマリアを信じる気持ちが揺らぎ始め、追い詰められたマリアが「儀式を進めなければ、また口がきけない体にしてやる」と脅す。アリスがマリアを拒んだことにより、マリアは最後の抵抗として会場に火を放つ。
実体化したマリアは司教を殺害してフェンのことも殺そうとするが、アリスが彼を庇う。唯一の子孫であるアリスが死んだことによって【子孫を通して永遠の命を得る】という条件が無効となり、マリアは消滅する。
フェンは、アリスの亡骸を抱えながら神に祈りを捧げる。すると、アリスは息を吹き返す。生き返ったアリスは聴力を失っており、今の彼女の中にもうマリアがいない。
フェンは記者としての人生を終止符を打ち、バンフィールドでアリスを見守り、そして恋人になったナタリーと生きていくことに決める。
