MikiMickle

マッドストーンのMikiMickleのレビュー・感想・評価

マッドストーン(1974年製作の映画)
3.5
『マッド・マックス』の原型ともいわれ、『マッド・マックス』のトーカッター役、『マッドマックス 怒りのデスロード』でのイモータン・ジョー様役ヒュー・キース=バーンの映画デビュー作となれば、見ないわけにはいきませんっっっ‼


水質汚染に反対する政治家が演説中に何者かに暗殺される。
ひやかしに来ていたバイク集団の“墓掘り軍団”のひとり、“ガマ蛙”は、ドラッグでふらふらトリップしていたのだが、
その暗殺者は顔を見られたと思い、墓掘り軍団の命を狙ってくる。

続く連続殺人。仲間を殺され復讐に燃える軍団に、ひとりの若手警官ストーンが潜入する。最初は警官を入れるなんてと笑っていた彼らだが、軍団のリーダー“葬式屋”の命を救った見返りに、ストーンを仲間に入れることにする。

調査をすすめるストーンは、社会的に堕落し外れもので悪の軍団だと思われているバイク集団にも、きちんとした反政府の考えがある事を知り、生活を共にしていく中でだんだんと友情を築いていくのだが…


まず、マッドマックスの原型とあったけど、全然違う(笑) というか、アメリカン・ニューシネマ的。

墓掘り軍団のメンバーが個性的。
葬式屋、ガマ蛙、死神、すけこまし、倉庫屋、ゴミ箱、すかしっぺ(または水虫)、丑三つ、ハゲ鷲、白イタチ、69、極道、やせっぽち、パチン コ…
なんて、素敵なネーミングセンスwww 当時の日本語でのこの呼び名を考えた人のセンスwww

悪魔を崇拝して、遺体を縦に埋めたり、おもしろ風習もあるんだけど、
ストーンと同じく、見ているこちら側も墓掘り軍団に愛着が湧いてきます。

警察に心を許していきなりアジトまで教えちゃう彼らがかわいいのであります(笑)

なんだかほのぼのするシーンも。
アジトでダラダラしていた夜明。
早朝の光の中、泳ぎにいこうと誘うストーン。
勘弁してくれとか言いながらも皆で目の前の海に繰り出し、全裸で戯れ始める男女。

心地よい音、キラキラ輝く光の中で、遊ぶ彼ら。
それはまるで人生そのものを謳歌するよう…
そして、それを見つめる見張りの仲間の暖かい眼差し…
非常にうまい演出です。最高のシーンだと思う。
ヒッピー的であり、人生を謳歌している姿に憧れを感じます。

バイク集団なので、バイクシーンももちろんあります。倉庫屋の葬儀では、他のバイク集団も参加するので、とにかくバイク、バイク‼ なが~~~く徒党を組んで、ハイウェイを駆け抜けます。
なぜバイクに乗るのかという質問に、彼らはこう答えます。
「なにかを信じさせられていていたのが急にいやになり、恥ずかしさを感じる。
そこでバイクをとばすと忘れられる。」と。
バイクは彼らの拠り所なのですね。

ラストシーン。
私は素晴らしいと思うね。
非道だけど、きちんと筋が通ってる。
粗削りだし、犯人を追うという要素はそれほどないものの、男臭さとアウトローの気持ちを感じました♪
自由を求め、アイデンティティーを求め、自らの道をバイクと共につっぱしる‼そんな映画でした。

バイクに限らず、自分を見つめ、それを表現するなにか。表現しなくても、自分は自分だと思えるなにか。それがあるだけで、自由は手に入る。 それに向かって突き進む心。それは生きていく上でとても重要なことであり、それを求める人はかっこいいんだと、思ったのです。

昔たくさんたくさん見た、アメリカンニューシネマを彷彿とさせられ、懐かしさを感じ、無法者のかっこよさを再確認し、私は、男でも女でも、筋が通ってる人間が好きなんだなと、そう思いました。
なにかに夢中になると世の中の理不尽さを忘れられるっていう、その言葉。サラッと出てきたけど、深いな。
MikiMickle

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