グラデーションなどないまんべんなく強い日射しの中で、角膜を焼かれないよう本能的に目を伏せる。
景色はどちらを向いても同じように白く、可能性が無数に存在するようでいて、すでに潰えたのかもしれないとも考える。
その時間が永遠に続くように思われてひとりでに足はすくみ、呼吸は浅くなり、まともでいることに耐えきれない者は戯けたり、塞ぎ込んだりする。
重心のない言葉が口を衝き、「本当だよ」が耳へ届く頃には、もうゴミ箱へ投げ捨てられる程度には嘘になっている。
誰もが少しずつ自暴自棄であるように努め、エントロピーを増大させながらも、物理法則を超越する日を夢見て胸を高鳴らせる。
増長した個人が他人を傷つけ他人に傷つけられることは空間を測るためのルーティーンになっていて、止まり木を見つけて安堵したのも束の間、重みに耐えきれずに折れてしまう若い芽に胸を痛める。
ならばと寝そべって、肌を重ねて得られる温もりはたしかなもののように思われるが、それも夜更けまでのわずかな時間にだけ許される喜びにすぎない。
すべてが砂に埋もれたデジタルデータのようであると同時に、鮮明に脳裡に焼き付いた連続的な記憶。
宛先のない手紙は、本当は自分に宛てて書いたものだったのかも知れない。
観た人がみんなそんな青臭いことを書きたくなる(少なくとも僕はなった)んじゃないかと思われる話。