ショーの俳優がプレイボーイの男爵のモノマネをしたことから始まる一人二役の入れ替わりコメディで、20世紀FOXらしい華麗なテクニカラーミュージカルと南米趣味の賑やかさ。 もともと「シュバリエの巴里っ子」(見てない)のリメイクということで、更に10年後には「南仏夜話・夫(ハズ)は偽者」としてリメイクされている。 「遥かなるアルゼンチン」、本作、「Week End in Havana」と南米路線が続く。カルメン・ミランダに代表される南米嗜好な明るさ、派手さ、華やかさ。でも屋外シーンがないのでカルメンのミュージカル場面以外ではブラジルらしさがないのだけど、楽しければ問題なし。華やかな衣装と美しいテクニカラーも魅力。撮影はレイ・レナハンとレオン・シャムロイ。 偽物が知らずに本物に有利に働いてしまうのとか、本物から偽物に一瞬で入れ替わるのとか、もちろん入れ替わりによるコメディが楽しい。主演スターたちが踊らないのが残念だけど。男爵をパロディーするミュージカルナンバーは踊らないんだけど、もうなんだか言い表せない喜びがある不思議。ラストの大円団も幸福感に溢れて最高。 主役のドン・アメチーが一人二役でキザな男爵とそのモノマネをする男優を、つまりどっちもキザな役を演じてスマートな印象を作品に与えている。スッキリ洗練されてるイメージ。歌うし。これで踊れるともっと良いのだけど。カルメン・ミランダと口論になると早口すぎてよく口が回るなと感心してしまう。 ヒロインはアリス・フェイとカルメン・ミランダ。それぞれに歌唱シーンの見せ場あり。カルメン・ミランダはハリウッドデビュー二作目。アリス・フェイだけショー場面以外で歌う。 その他アッチョンブリケなS・Z・サカール、上記南米路線三部作皆勤のレオニード・キンスキー。端役時代のマリア・モンテスも台詞ありで登場!